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東大入試では夏目漱石が出題

 また、高校の指導要領改革に関しても、枠組みこそ変更できないものの、実際の運用においてはかなりの撤退が見られそうだ。「論理国語」「文学国語」の教科書はまだできておらず、検定結果はわからないが、文科省は、授業において「論理国語」4単位を「減単」して、他の教材を入れてもよいとの妥協案を出した。結果として、多くの高校が「論理国語」を減単し、「文学国語」も扱う方向で検討中と聞く。喜ばしいことではあるが、それならそもそも「現代文B」を分割する必要はなかったのだ。

 大学入試と国語教育の行方がどうなるか、ますます注視していかねばならないが、そもそもそれ以前に、より根本的な問題として、「文学」や「論理」について考えておく必要があるのではないか。

 また、文学的文章が読めることは、大学生として求められる学力と無縁なのだろうか。ちなみに今春の東大の入試では夏目漱石の文章が出題された。真に役に立つ「国語」の力とはどういうものなのか、という問が今、問われている。

INFORMATION

伊藤氏貴教授と阿部公彦東京大教授とが、「大学入試」と「国語教育」について徹底討論する夏休みオンライン講座が開催されます。

阿部公彦東京大教授

阿部公彦×伊藤氏貴「受験に『文学』は役立つか~『文学』と『論理』、『英語力』と『国語力』」講座

日時:2021年8月14日(土)13:30~15:00

Zoomウェビナーにて配信
詳細は https://books.bunshun.jp/articles/-/6328