88年生まれの新垣結衣、堀北真希、戸田恵梨香ら「黄金世代」の“影の実力派女優”徳永えりさん。NHK連続テレビ小説『わろてんか』では女中・トキ役としてヒロインを支えている。そんな徳永さん、「お芝居が楽しい」と思えるまで、試行錯誤の連続だったとか。女優に転身するきっかけから、舞台で共演した「明石家さんまの男前エピソード」まで語っていただきました。
(全2回インタビュー #1からつづく)

 

「やばい、ここ、お芝居する事務所だ」

――モデルとして活躍をされていた徳永さんは、どうして女優になろうと思われたんですか?

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徳永 実は女優になろう、と思ったことはないんです……。中学の時に始めたモデルのお仕事はフリーでやっていたんですが、ちょうどダンスとボーカルのスクールにも通っていて、レコード会社さんからもお話をいただいていたんです。ただそれは預かりみたいなもので、別に用意されていたモデル事務所もあるにはあったんですが、「なんか違うぞ」と。私の中ではどっちつかずの状態にあるのはよくないなと直感的に思ったんです。それでオーディション雑誌を読んで、ここかなって、これも直感的に思って受けたのがいまの事務所なんです。で、ふたを開けてみたら「やばい、ここ、お芝居する事務所だ」って(笑)。

――思わぬ事態だったんですね。

徳永 オーディションの時から焦りました。

 

モデル時代にやっていたことがガラガラガラって崩れた瞬間

――インタビューの前半でお伺いしましたが、女優の仕事を始めてから「楽しさ」を見出すのにしばらく時間がかかった、ということでしたよね。

徳永 そうなんです。私がモデルをやっていた頃はティーン雑誌が盛り上がっていた時期で、たかだか中学生なのに撮影中も「かわいい、かわいい」ってみんなに褒められるし、ファッションショーのようなイベントに出演させていただくことも多くあって、今から考えるとありがたい環境だったんです。純粋に楽しい、って思っていたので。

『わろてんか』では女中のトキ役

――ところが女優の仕事を始められて、最初は悩まれたんですね。

徳永 オーディションにはカメラテストというのがありまして、そのカメラマンさんに「楽しくなかったら笑わないでね」って言われたんです。それがショックというか、どうしていいかわからなくなって、モデル時代にやっていたことがガラガラガラって崩れるような感覚になったんです。「楽しいってなんだっけ」になっちゃったんですよね。

――考え込んじゃったんですね。

徳永 そうです、「笑うってなんだっけ」みたいな。そこから抜け出すまで、けっこうかかりました。