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明石家さんまさん、あの人はずるいです(笑)

――舞台といえば、明石家さんまさんとも共演をされていますよね。

徳永 はい『ワルシャワの鼻』という舞台です。本当に楽しかった。そこでわかったことは、明石家さんまさんという方は、ずーっと明石家さんまさんのまま、ということですね。ずーっと喋っているし(笑)。

――本当にそうなんですね。

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徳永 でも、お芝居に真っ直ぐな方で、稽古で決めたら本番ではアドリブが一切ないんですよ。

――意外ですね。

徳永 それをアドリブのように舞台で見せるからカッコいいんです。あたかも今思いついた風に、吹いたりとか、顔を隠したりとかされるんです。それから、私はさんまさんと親子役だったんですが、2人のシーンで見せるさんまさんの演技も表情も佇まいも、とにかくカッコいいんです。あの人はずるいです(笑)。格好良さと面白さを兼ね備えられたら、敵いませんよね。

 

行き着く先は菩薩さまのような女優

――喜劇は演技者にとっての最高峰と、前半のインタビューで仰いましたが、目標とする俳優にはどんな方がいらっしゃいますか?

徳永 ……たくさんいますけど、片桐はいりさんがまず思い浮かびました。なんといっても存在感とインパクトです。あとは大人計画のみなさんはすごいなって思います。笑いを取りに行こうとしてないのに、人間の滑稽さとか惨めさが滲み出てくるお芝居をされますよね。最近の私のテーマは、オリジナリティとは何か、なんです。ずっとオリジナリティがないまま、ここまで来てしまったので。

 

――そんなことはないと思いますけど。

徳永 私って何色だっけ、客観的に見てどういう匂いのする女優だっけ、と考えたときに、確たるものがないなあと。だから、今29歳で、来年30代に入りますけど、もっとあがいて泥臭い感じを出していけるようにもなりたいんです。でも、行き着く先は菩薩さまのような、穏やかな可愛いおばあちゃんの女優になりたい。

――目標の菩薩女優はいらっしゃるんですか?

徳永 草村礼子さん。私のおばあちゃんにも似ていて、大好きなんです。ただ、女優として草村さんのようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうなので、いろんな役に挑戦してあがいてみたいです。もちろん仕事は楽しく、で。

 

写真=榎本麻美/文藝春秋
撮影協力: Galaxy-Gingakei

とくなが・えり/1988年大阪生まれ。2004年に女優デビュー。06年には映画『放郷物語 THROWS OUT MY HOMETOWN』で主演を果たした。映画出演作品に『フラガール』『春との旅』『マンガ肉と僕』など。NHK連続テレビ小説には『梅ちゃん先生』『あまちゃん』に続いて『わろてんか』で3作目の出演となる。