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初めて斬った相手が長州人だった

 念のため、副長の土方歳三は監察に命じ、深町新作の身辺を探らせる。しかし、おそのとの仲が気まずくなっていること以外は、怪しい影は発見できなかった。

 

 時世は風雲急を告げる。長州藩が京都の政争から脱落し、幹部らが都落ちすることになった。長州と京都との連絡役として、新作の役割は重要度を増すことになる。そんな折、新作は初めて出陣し、人を斬ることになる。相手は長州藩士だった……。

 
 
 

 この時の活躍により、新作は編成替えによって沖田率いる一番隊に属することになる。そこには、「人斬り主膳」の異名をとる松永主膳がいた。松永は新作に対して、なぜか親しみを見せてくるのだった……。

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 ある日、新作は土方歳三に呼ばれた。「ある男を斬ってほしい」。嫌な予感がした。検分役は沖田だった。沖田によると、長州間者の大元締の居場所がわかったという。その噂を自然な形で隊内に広めると、一人の男が屯屋を出て行ったという。「松永」だった。

 

 新作は何も知らされていなかった。「俺は単なる棄駒だったのか……長州は許せん。間者を斬って、俺は新選組を抜ける!」。新作は決意する──。

 
 

 続きは、コミカライズ版『新選組血風録(一)』でお楽しみください。「長州の間者」の他、初代筆頭局長を近藤、土方らが粛清するまでを描いた「芹沢鴨の暗殺」、天才剣士・沖田総司を主役とした「沖田総司の恋」「菊一文字」の計4編を収録しています。

新選組血風録(一) (文春時代コミックス)

司馬 遼太郎 ,森 秀樹

文藝春秋

2021年7月27日 発売