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決まった動きを繰り返す…のではない! 五輪新競技「形」が「空手」において重要な種目である“納得の理由”

2021/08/05
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 東京五輪ではスケートボード、スポーツクライミング、サーフィン、空手の4種目が新競技に採用され、それぞれ大きな盛り上がりを見せている。

 すでに、スケートボードでは男子ストリートで堀米雄斗選手が金メダル、女子ストリートでは西矢椛選手、中山楓奈選手が、それぞれ金メダル・銅メダルを獲得。サーフィンでも五十嵐カノア選手が銀メダル、都筑有夢路選手が銅メダルを獲得するなど、日本勢の活躍は留まるところを知らない。

メダル獲得が期待される「空手」

 そんななか、8月5日から行われる「空手」も日本人のメダル獲得が大いに期待される競技だ。

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女子「形」に出場する清水希容選手 ©getty

 8メートル四方の競技場で2人が戦う「組手」は、群雄割拠な状況ながらも、スピードのある突きが持ち味の女子61キロ超級・植草歩選手の実力は世界トップクラスの選手に比肩するものであるし、攻撃技と防御技を演武する「形」では、世界選手権を2連覇、全日本選手権を7連覇している清水希容選手、そして空手発祥の地である沖縄県出身の喜友名諒選手が金メダル候補の筆頭格だ。

明快に勝敗が決まる「組手」

 今回の東京五輪で行われる空手競技は「組手」と「形」の2種目。「組手」は、向かい合った選手が緊迫した駆け引きを行いながら、寸止めで、「中段突き」「上段突き」(有効/1ポイント)、「中段蹴り」(技あり/2ポイント)、「相手を倒しての的確な突き」「上段蹴り」(一本/3ポイント)といった技を繰り出し合う競技だ。

※技が決まっているかどうかは、選手のやりとりを目の前で見守る主審、競技場の四方にいる副審が判断。空手は 「技が相手に決まると、相手は立ち上がることができずに絶命状態になる」という「極め」の概念が重要視されるため、一撃で相手を倒せるほどの力強い動作・技のキレ・声・気迫・残心(武道における心を途切らせない意識。空手の場合は攻撃した後に相手の反撃に備えるための構えを指す)が伴った場合にのみポイントが加算される。

 試合終了時に、より多くのポイントを獲得している、もしくは相手選手に8ポイントの差をつけた選手が試合の勝者となる。

「極め」が「ある」ことが必要なので、技がポイントになる/ならないの判断は競技経験者でなければなかなか難しい。しかし、柔道やレスリングと同じ“1対1の対戦競技”ということもあり、競技中の優勢劣勢そのものはわかりやすく、多くの視聴者が試合の行く末を固唾を飲みながら観戦できるだろう。