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サーフィン会場に上陸したIOCバッハ会長

「アギーレ氏が“歓迎”したのは台風だけではなかったようです。突如、サーフィン会場にバッハ会長が現れて、記者はみんななバタバタと取材体制に入りました。そしてバッハ会長を歓待したのがアギーレ氏です。アギーレ氏は青のウインドブレーカーを着た恰幅のいいバッハ会長を連れて、台風の接近で風が強くなった会場の砂浜を一緒に歩き始めました。バッハ会長は圧倒的に偉そうで、アギーレ氏は身振り手振りで会場をアテンドしていました」
  
 IOCのバッハ会長の突然の“上陸”に現地メディアは騒然となったようだ。「後で聞くと、当初は森元首相も視察に来る予定」(同前)だったというが、直前に日程を変更したようだ。

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 アギーレ氏とバッハ会長は取り巻きを連れて談笑し、しばらく台風で荒れた海を見つめると、組織委と選手しか入れないエリアへ入っていったという。IOC関係者が証言する。
  
「2人が入ったのはサーフィンの歴史を紹介したサーフィンミュージアムがあるエリアです。もともとは観客のために用意したのですが、無観客になったことで大会関係者だけにしか見られなくなってしまいました。橋本聖子さんや室伏広治さん、丸川珠代さんら政府関係者も五輪開始前に視察にきたことがあります。元アスリートの橋本さんと室伏さんは熱心に見ていましたが、丸川さんはサーっと見て帰っていった。バッハ会長は5分ほどアギーレ会長の解説を聞きながら眺めて、出ていきました」

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決勝戦前倒しにバッハは影響したのか

 その後、アギーレ会長とバッハ会長は再び大荒れの海を横目にビーチを散策。準決勝終わりの五十嵐になにやら声をかけたあと、バッハ会長は決勝戦を観ることなく会場を後にしたという。
  
「正直、台風が来ている最中でサーフィン競技が開催された背景には、バッハ氏が会場を視察する日程があり、その日程を延期するわけにはいかなかったからではないかと思った記者は少なくなかったはずです。台風の前の茶色く濁り荒れ狂った海を見て、バッハ氏が本当のところどう思ったのか聞いてみたい気がします」(前出・大手紙社会部記者)

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 コロナ禍での開催という“大博打”に打って出た東京五輪。IOC会長は台風すら味方につけて無事上陸を果たしたが、五輪後にはどんな結末が待っているのだろうか。バッハ会長はサーフィン会場視察の翌日の28日、五輪野球の開幕戦、日本対ドミニカ共和国戦でも、王貞治氏と共に始球式に登場した。