文春オンライン

五十嵐カノア“涙の銀メダル”の裏にバッハと台風「決勝日程を前倒しは麦わら帽子の“イケイケ”なサーフィン連盟会長が決定」――東京五輪の光と影

note

台風の“怖さ”よりも“波の大きさ”を優先

 しかし決勝日の前倒しを決めたのは、「サーフィンを知らないおっさん」ではなかった。国際サーフィン連盟関係者が明かす。
  
「日程の前倒しを急遽決定したのは、国際サーフィン連盟会長のフェルナンド・アギーレ氏のようです。アギーレ氏自身もサーファーで、ビーチサンダルビジネスで成功し、団体で長く役員を務めている人物です。積極的にIOCへのロビー活動を行って、サーフィンが五輪新種目に選ばれた立役者でもあります。

©JMPA  

 彼は海のコンディションが悪くとも『波はデカい方が盛り上がる』というタイプなんでしょうね。台風の“怖さ”よりも、波の大きさを優先した。彼はラテンの国・アルゼンチン出身ですから、イケイケですよ。現地入りもしていて、アロハシャツに麦わら帽子のイケイケのおじいちゃんがいるな、と思ったら会長でしたから(笑)」
  
 この関係者に「選手にとってはいい条件ではなかったのでは」と疑問を投げかけると、「選手たちは荒れ狂う大波に挑戦することを楽しんでいましたよ」と笑顔で否定した。

アギーレ会長の「イケイケ」な決断

「釣ヶ崎海岸がサーフィン会場に選ばれた理由は色々ありますが、ひとつには“波のデカさ”があります。しかも今回は釣ヶ崎海岸のなかでも特にデカい波が起きていました。確かに一般サーファーにとってはサイズが大きすぎるし、“ジャンクコンディション”で波乗りできる状態ではありませんでした。
  
 でも波の発生が不規則だからこそ、一発ものすごい大波が来ることもあるんです。それを狙って大技にチャレンジできる。しかも今回集まったのは世界のトップサーファーです。彼らにとっては決して悪くない条件だったと思います。観る人にもわかりやすくて、楽しめたんじゃないでしょうか」

ADVERTISEMENT

©JMPA 

 アギーレ会長の「イケイケ」な決断によって、選手にとっても視聴者にとっても大迫力のサーフィン競技になったという見方もあるようだ。結果論ではあるが、台風の進路が逸れたことで、サーフィンにとっては良い条件となった面もあったのだろう。
  
 アギーレ会長は一種の“賭け”に勝ったのだともいえる。そんなアギーレ会長の「イケイケ」な判断を後押しした人物がいると現場では囁かれている。前出の大手紙社会部記者が語る。

関連記事