京都の古刹、蓮久寺の三木住職の下には、今日もさまざまな相談や悩みを抱えた人々がやってきます。死者からの伝言、呪いのワラ人形、祟られた家……一般の人にはおよそ信じてもらえない、怪異な現象の数々──。

 三木住職が実際に見聞きした不思議な出来事を、仏教説法を交えて語る「怪談説法」。「コワイけど、泣ける」「お説法に御利益がある」と評判になり、『怪談和尚の京都怪奇譚』シリーズとして出版され、YouTube「三木大雲チャンネル」で配信もされています。この夏、『怪談和尚』としてコミック化もされました。

「怖~い話」+「仏教説法」の怪奇譚とは、一体どんなものなのでしょうか。話題のコミカライズ版から、「自殺志願者」の一篇をご紹介します。「いつか、あなたの身にも起きるかもしれない……」。

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殺人事件のあった公園

 京都市内にある船岡山公園。昔、刑場があったということで心霊スポットとしても有名な場所です。その公園で三木住職が中学生の頃、警察官が拳銃を奪われ、射殺されるという凄惨な事件が発生しました。事件から数か月後、三木少年は悪友たちに誘われ、その公園に肝試しに出かけることになります……。

 
 

 夜、公園前に集合した少年たち。手に懐中電灯や傘、ジュースなどを持ち寄っています。怪奇漫画家「日野日出志」のファンで、皆から「ヒデシ」と呼ばれていた三木少年は、なぜか風呂桶を持ってきました。「友達と銭湯に行く」と言って家を出てきたのです。「ルールは一つ。絶対に走らないこと」。5人は夜の公園に入っていきます……。

 

 鬱蒼とした夜の公園は昼間とは違って、異様な雰囲気です。少年たちも思わず、早歩きに……。頂上近くのベンチで一休みしていると、仲間の一人が「ここ、殺人事件のあった場所じゃない…」。