幕末動乱期の京都の治安維持を任務として結成された新選組。局長である近藤勇は天然理心流の剣豪で、その差料である名刀「虎徹」は、尊王攘夷派の浪士の間で恐れられていた。

 近藤の虎徹は、江戸を発つ直前に刀屋から入手したものだった。その近藤の愛刀が、実は贋物であるという噂が……。新選組局長の差料の真贋は、隊の武威そのものに関わってくる大問題だ。その顛末は……。

 司馬遼太郎原作『新選組血風録』のコミカライズ版第2巻から、近藤勇の差料をめぐる騒動を扱った「虎徹」をご紹介する。

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格安で手に入れた名刀

 試衛館師範の近藤勇は、幕府の浪士募集に応じて京に上がる直前、刀屋で「虎徹」を二十両という破格の値段で入手する。虎徹は名刀として知られ、当時の心掛けある武士は競って求めた。しかし半面、贋物も多かったのだ……。

 
 
 

 京都で新選組を結成したばかりの頃は、近藤自ら市中巡察に出ることもあった。ある日、豪商・鴻池の別邸で不審な気配が……。近藤の虎徹が鞘から飛び出すように気を放つ──!

 
 

 不審な人影は、不逞浪士が尊攘資金と称して富家へ押し込む「御用盗」だった。近藤はたちまち強盗らを斬り捨てる。「虎徹は斬れる!」