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「これは虎徹ではない」
試衛館時代の仲間である斎藤一が、江戸からやってきた。斎藤は剣の達人であると同時に無類の刀好きでもあった。斎藤は近藤の虎徹を見て、「先生、これは虎徹ではありませんよ」と断言する──。
近藤は刀屋に騙されたことを悟った。しかし、「これは虎徹だ。斎藤君もそう心得てくれ」と語る。「すでに隊内でわしの虎徹は広まっている。刀は銘の如何ではなく、生かし方なのだ」
御用盗の一件で、豪商・鴻池の本宅へ招待された近藤。鴻池から正真正銘の虎徹を譲り受けることになった。鴻池は動乱の時代を生きるため、新選組に恩を売っておきたかったのだ。
喜んだ近藤はその後、鴻池虎徹を帯びて市中に出るようになった。ある日、料亭からの帰りに刺客団に襲われた。
近藤はひとりで刺客団と相対するが、本物の虎徹はなぜか「斬れなかった」……!
一体、どの虎徹が本物なのか!? 続きは、コミック『新選組血風録(二)』でお楽しみください。「虎徹」の他、新選組で起きた同性愛騒動を描いた「前髪の惣三郎」、会計方として入隊した男が敵討ちに駆り出される「海仙寺党異聞」の計3編を収録しています。