拠り所がない少年少女が集まる「トー横」
同記者によると、「5月に自殺した2人は市販薬を大量に飲んで多幸感を得る『オーバードーズ』の状態だったと見られる」という。オーバードーズは若年層を中心に広まっており、法律には反しないが、依存性がある上、不整脈などの危険があり社会問題化している。
「トー横に集まる少年少女たちは、日常の拠り所がない子供も多い。大きな荷物を持って明らかに『神待ち(家に泊めてくれる“神”を待っている)』目的の少女もいて、ひと目もはばからず声をかけている中年男性の姿を見たこともありますよ」(前出の30代男性)
逮捕されたのは15歳の少年
そんなトー横で発生したのが、冒頭の少年による暴行事件だ。新宿署は8月23日、トー横付近の路上でホームレスの60代男性の頭を踏みつけるなどしたこの少年(15)を傷害容疑で書類送検した。
「少年が暴行したのは、今年の6月2日午前4時頃。暴行の様子を友人が撮影していて、それがネットに流出し騒ぎになっていました。動画にあるように、倒れたホームレスの男性の頭部を足で踏みつけ、立ち上がった男性をまた投げ倒して踏みつけたりして全治1週間の軽傷を負わせた疑いで送検されました」(大手紙社会部記者)
少年は広島県広島市の出身で、この春に中学を卒業。今年5月に上京してきたばかりだったという。
「少年は芸能界を目指して上京し、高校には行かず職業は不詳。日常的にトー横付近でたむろしており、事件当日は友人らとトー横で飲酒していました。被害者の男性も飲酒しており、口論となり少年がキレてしまった。署の調べに少年は、中学校を卒業して間もない15歳ながら『酔っていて詳しいことは覚えていないが、やったことは間違いない』と供述していました」(捜査関係者)
SNSで特定される事件の当事者たち
歌舞伎町のトー横にまつわる事件。5月には20歳の男がSNSで知り合った13歳の女子中学生を歌舞伎町のホテルに連れ込み、誘拐したとして逮捕される事件もあった。ネット上では、被疑者どころか被害者も特定されたという。
「今回のホームレス男性への暴行事件も、15歳の少年は特定されてしまいました。10代は、SNSに多く投稿している影響ですぐにネット上に出回ってしまい、少年法に準じて匿名報道をしている新聞、テレビは何なんだろうと思ってしまいますね」(前出・大手紙社会部記者)
自殺や暴行、オーバードーズに個人情報流出……。“10代の聖地”トー横では、非日常が日常となってしまっているようだ。