放送室で見届けてきた1000勝のすべての勝利
そして月日は流れた。ロッテはマリンで色々な人の思い出に残るような感動的な白星を積み重ねていった。05年と10年には日本一にもなった。そして谷保さんはマリン名物の場内アナウンス担当として今も勤務を続けている。公式戦担当試合は1935試合(8月31日試合終了時点)。連続担当試合は1729試合(8月31日試合終了時点)となった。8月31日のライオンズ戦でロッテはマリン通算1000勝のメモリアルを達成した。谷保さんは1000勝のすべての勝利を放送室で見届けてきた。
「1000勝ってどのくらいで達成なんだろうと数え始めてから何年も経ちましたが、沢山の人たちと沢山の勝利を一緒に見届けてきた場面場面を思い返すと、思い出し泣きしそうになります。改めてこんなに長い期間マリンと一緒に過ごせて、幸せだなぁと思います」と話す。
試合終了後に場内に流れた「本日の勝利でZOZOマリンスタジアム1000勝でございます」のアナウンス。その声は少し感極まっているようにも聞こえた。小雨がグラウンドを濡らす中、行われた集合写真の撮影。放送室で見守る名物ウグイス嬢の目も少し潤んでいるように見えた。
帰宅前に聞いてみた。こみあげるような特別な感情があってのアナウンスだったのかと。谷保さんは笑いながら答えた。「そうかも、しれません」。肯定もしなければ、否定もしなかった。それがまた谷保さんらしかった。
マリーンズファンが次に耳にしたいコールはやはり「千葉ロッテマリーンズ、パシフィックリーグ優勝でございます」のアナウンスだろう。05年、10年の日本一を決めたのはビジター。05年のプレーオフ2ndステージも、10年のクライマックスシリーズファイナルステージもビジターだった。相手チームの胴上げはあれど、千葉ロッテマリーンズがZOZOマリンスタジアムで優勝の瞬間を迎えたことはない。1974年以来のリーグ1位でのリーグ優勝に向けて好位置につける2021年シーズン。マリンの本拠地で千葉ロッテマリーンズの試合を見続けてきた名物ウグイス嬢がその瞬間のために最高の声を準備している。
梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)
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