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 今回は3年ぶりにフルスペック(党員・党友投票も含める)で実施するというが、では3年前の総裁選はどうだったか。当時の記事を振り返ろう(2018年8月22日)。

『論戦したい石破氏 敬遠したい首相側』(朝日新聞)

『石破氏 焦がれる直接討論』(読売新聞)

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『首相、短期戦で石破氏封じ』(毎日新聞)

 同じ日に3紙が同じ論点で記事を書いていた。それほど当時の安倍晋三総裁は対立候補の石破茂にモリカケ問題をツッコまれるのが嫌だったのだ。議論を避けた。

 石破氏が「正直で公正、謙虚で丁寧な政治をつくる」と主張したことに対し党内からは個人攻撃はするなという「苦言」も飛んだ。以前のような狡猾さが自民党にあったら石破茂をとことん利用しただろう。安倍と並ばせて批判をさせただろう。国民の不満を緩和させる手に出たはず。しかし封じた。その結果モリカケはくすぶり続け「桜」まで出た。

安倍前首相が「岸田さんはどうするの?」

 その教訓でいうと今回は菅氏のコロナ対応をどれだけ身内がツッコむことができるか。それが見どころでもある。議論を避けるようなら国民の不満はそのまま蓄積される。菅氏は総裁選を勝ったあと間を置かずに衆議院選挙をするという戦略があるらしいですが、それは危険な大ボケの匂いしかしない。総裁選のあとに一億総ツッコミの予感。

 さて総裁選に出馬表明している中で注目されているのは現時点では岸田文雄氏です。岸田氏と言えばフニャフニャ感が売り(失礼)。2018年総裁選でポスト安倍を狙った岸田氏のエピソードが泣けてくる。安倍・岸田の会食の様子を読売が書いていた。

自民党総裁選に出馬表明した岸田文雄 ©文藝春秋

《これまで遠回しに腹を探ってきた安倍だったが、この日は単刀直入に切り出した。「岸田さんはどうするの?」。岸田は「どうしましょうか」といつものように煮え切らず、安倍支持を明言しなかった。》(読売新聞2018年7月26日)

 いつものように煮え切らず……。結局出馬はしなかった。昨年コロナ対応が始まってからの岸田文雄は誰もつけなくなったアベノマスクを最後までいじらしく着けていた。ポスト安倍の禅譲をおとなしく期待していたのだ。