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ギャル男だった僕に勇気をくれた坂本勇人…純烈・後上翔太は巨人に救われた

文春野球コラム ペナントレース2021

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「プロ野球」に勝てるアーティストなんていない

 エンターテインメント業界のはしくれとして、プロ野球という興行の凄まじさをひしひしと感じます。超人気のアイドルやミュージシャンが「東京ドーム3DAYS」というコンサートを開催したらものすごいことなのですが、巨人は「東京ドーム何十DAYS」を毎年やり続けているわけです。巨人だけでなくセ・パ両リーグとも平日でも数万人を集めるのですから、プロ野球に勝るアーティストなんていないでしょう。

 そんなプロ野球界で、僕がもっとも尊敬するスターは「セットアッパー」です。

 セットアッパーはいつも、試合のクライマックスで投げなければなりません。緊迫した場面でみんなの期待を一身に背負い、年間何十試合も投げ続ける。個人的には先発投手やクローザーに比べて、軽んじられているように感じるのが残念でなりません。もっと華々しく、クローズアップされていい過酷な仕事だと思うんです。

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 僕がとくに好きだったセットアッパーは、山口鉄也さんでした。巨人は2007~2009年と2012~2014年にリーグ3連覇を達成していますが、僕は山口さんが陰のMVPだと考えています。9年連続60試合以上に登板して、チームのために投げ続けてくれた姿に何度も励まされました。

 あまりにも「山口さんが好き」と言いまくっていたせいか、純烈のガイドブックを刊行した際にスタッフの方が山口さんからコメントをもらってくれるというサプライズもありました。山口さんからの「頑張ってください」という激励、山口さんのお母様も純烈のことをご存知という情報を得て、心の底からうれしかったです。

 今の巨人でもっとも好きな選手は、中川皓太投手です。7回、8回のしびれる場面に登場しながら、無表情で飄々と抑えていく。0点に抑えた後、軽く拳をクッと握り締めてベンチに戻っていく、あのたたずまいがたまらなく好きなんです。

 2年前の8月には、中日戦で菅野智之投手の勝利投手の権利を消してしまい、ベンチで涙を流すシーンもありました。意外な熱さも秘めているのだな……と、そのギャップにも惹かれました。

 もちろん、高梨雄平投手、大江竜聖投手、鍵谷陽平投手も大好きです。今季は小刻みにリリーフ投手をつなぐ「マシンガン継投」が多いだけに、調整は大変だろうなと想像します。今季もし優勝できれば、ビエイラ投手の功績が大きく称えられるでしょうが、僕は守護神へとつないだ彼らの献身ぶりにも大きな拍手を贈りたいです。

 2021年のレギュラーシーズンも残すところ30試合あまり。阪神、ヤクルトとの壮絶な優勝争いは、これからもますます激しさを増していくのでしょう。

 コロナ禍で先行きの見えない日々を過ごしている人もたくさんいるはずです。それでも、過酷な現実に背を向けて巨人の戦いに勝手に喜び、勝手に憤り、勝手に救われる……。そんな人間は僕だけではないはずです。また、僕自身が誰かのそんなエンターテイナーになれたらいいなと思っています。

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