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僕らに背中を押されたがっている “有言実行”ヤクルト・村上宗隆の言葉力

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/09/11
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悲願のペナント奪取に向けて、村上は走り続ける

 オリンピックに向けての意気込みを尋ねたときには、こんな言葉が返ってきた。

「オリンピックはもちろんですけど、僕は普段から“自分のプレーを通じて、多くの人に元気になってもらいたい”と思っています。僕のプレーを見て“また明日も頑張ろう”と思ってもらいたい。僕の一打、守備、野球をしている姿で、みんなに勇気を与えられたら嬉しいです」

 この言葉にもしびれたなぁ。4月11日、バンテリンドームでの対中日ドラゴンズ戦。1対2と1点ビハインドの9回表に村上は果敢にヘッドスライディングを行い、リクエスト判定の結果、ヒットを勝ち取っている。先日の8月21日の対広島戦でも一塁へのヘッドスライディングで内野安打を奪っている。

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 個人的には、頼れる主砲の故障離脱が怖いので、「そこまでしなくてもいいですよ、村上さん……」と思っているのだけれど、彼が口にした「野球をしている姿でみんなに勇気を」というのは、まさに有言実行なのだ。村上は続ける。

「常日頃から一生懸命プレーしていますけど、オリンピックでも、必死に勝ちにいく姿勢を見ていただければと思います」

 まさにこの言葉通り、村上は侍ジャパンの一員として見事に戦い、金メダルをもたらした。

 そして今度は、悲願の「ペナント奪取」に向けて、彼の力が必要となる時期が訪れた。野球選手はプレーがすべてであり、多弁さや雄弁さは必要ないとは思う。しかし、決して饒舌ではなくとも、その言葉が人々の胸を打つ選手はたくさんいる。

 間違いなく、村上はその一人だ。現在、その渦中にある激しい首位争いにおいて、村上はどんな活躍を見せるのか? そして、どんな言葉を我々に与えてくれるのか? ぜひ、シーズンオフには歓喜の瞬間を振り返ってもらう、3度目のインタビューを実現させたいものだ。そのときには、冷静沈着でいられる自信は、もちろんない。

 さて、冒頭に掲げたヒーローインタビューは、村上のこんな言葉で結ばれる。

「とにかく今は優勝すること、それしか見えていません。そのためには上位チーム、その2チームにしっかり勝たないと上は見えてこないと思いますし、何とか食らいついていきたいと思います。熱いご声援、よろしくお願いします!」

 やっぱり「村上の言葉」には、僕らを鼓舞する力がある。

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