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実は妹がいる、本人より先に“ニセモノ”が登場…ルパン三世の相棒・次元大介はどう演じられてきたのか?

実は妹がいる、本人より先に“ニセモノ”が登場…ルパン三世の相棒・次元大介はどう演じられてきたのか?

2021/09/10
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 9月7日、モンキー・パンチ原作の国民的アニメシリーズ『ルパン三世』(’71年~)で、ルパンの相棒・次元大介の声を約半世紀にわたり演じ続けてきた声優の小林清志さん(88)が、同役を卒業することが発表された。後任は人気声優のひとりにしてベテラン・大塚明夫さん(61)だ。

 小林さんは1971年に放送を開始した『ルパン三世』(第1シリーズ、通称PART1)から天才ガンマンである渋い二枚目・次元大介の声を演じてきた。日本テレビ系でこの10月から放送がスタートする『ルパン三世PART6』では、初回に小林さんが次元を演じる最後のお話「EPISODE 0 -時代-」を放送。それ以降は大塚さんが引き継ぐことになる。

『ルパン三世PART6』公式HPより

五ェ門の存在で明確化されていった“ガンマン”設定

 今でこそ“ルパン三世のなくてはならない相棒”である次元は、じつは原作では第10回が初登場。それも本人ではなく、「ルパンを追う次元大介刑事」(=実際は、自分のニセモノ(ニセルパン)を追うルパンが変装した、“次元大介刑事”)としての登場で、本人が出ないうちに“ニセモノ”の方が先に登場するというかなり異例のデビューだった。

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 次の回で満を持してようやく本物が登場。ルパンの相棒となるきっかけも描かれるが、“早撃ち0.3秒”とアニメ版のナレーションで語られるガンさばきはまだ完全には描かれなかった。“天才ガンマン”の設定は、“コンニャクだけは斬れない”斬鉄剣の名手・石川五ェ門とのキャラクター対比の中で、より明確にされていく。

 TVアニメでは第1シリーズの第1話から既にルパンの右腕として登場。以降、皆勤賞……と書きたいところだが、残念ながら第1シリーズの第20話のみ登場していない。

モンキー・パンチ氏 ©文藝春秋

 そのネーミングは“次元が違う”など「次元」という単語がつく言い回しを好んだ、モンキー・パンチ先生のもじりからだという。ルパン、五ェ門、銭形警部と違い、架空もしくは実在人物の子孫でもなく、出自は不明瞭だが日本人で、原作ではルパンの幼な馴染みで妹がいることになっていた。