高橋留美子さんが『週刊少年サンデー』で連載中の『MAO』が熱い盛り上がりをみせている。『MAO』は、小1の時に事故で家族を失った中学3年生の少女・黄葉菜花(きばなのか)が、大正時代に漂流。運命的に出会った陰陽師の少年・摩緒と、苦難を乗り越えながら自身の「謎」を解き明かしていく大正怪奇ロマンだ。『MAO』の立ち上げから関わっている担当編集の「モリケン」さんこと、森脇健人さんに、高橋作品と高橋さん本人の魅力についてお聞きした。(全2回の2回目。前編を読む)

『週刊少年サンデー』で行った応募者全員サービス の『犬夜叉』複製原画を持つ森脇健人さん

休んでいる間の雑談から構想が生まれた

──森脇さんは『MAO』の立ち上げ前から高橋さんの担当編集をされていらっしゃるとお聞きしました。2009年から連載していた『境界のRINNE』が2017年に完結したあと1年半くらいお休み期間がありましたが、何か特別な事情があったのですか。

森脇 今回はこれまででいちばんお休みのスパンが長かったんですけど、特に「休みたい」という明確な理由があったわけではなく、気づいたらこんなに休んでいた、という感じです。

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 なので、休んでいる間も1週間に1回くらい雑談がてら打ち合わせをしていました。そのなかで、アガサ・クリスティの全作品を一気読みして面白かったという先生の話から、次はダークな感じでちょっとミステリー仕立ての話を描きたいという構想が生まれました。

ミステリー仕立ての『MAO』は、綿密にストーリーラインを組み立てて描くと語る森脇さん

 ご自分でもおっしゃっていますが、高橋先生の作品は「アドリブ型」が多いんです。これは、まずキャラクターと舞台設定があって、そこで誰がどうなるかというのを、その都度考えていくというスタイルです。しかし今回の『MAO』はミステリー仕立てなので、綿密にストーリーラインを組み立ててやっているそうです。これは今までにない新しい取り組みで、すごく楽しいと言っていました。