僕ら編集者よりたくさん本を読んでいる
──作品を「面白くする」原動力は、想像力だと。
森脇 加えて、膨大なインプットです。高橋先生はとにかくいろいろな作品をご覧になっています。週に1回は本屋に行き、いま連載しているものから人気の作品まで、漫画、小説、雑誌問わず全部購入して読んでいるので、すごいなあといつも思っています。
Twitterのおすすめの本への回答でも浅田次郎さんの『蒼穹の昴』や、アガサ・クリスティ作品をあげておられましたが、僕も先生から「この本面白かったよ」とおすすめしていただいたことが何度もあります。下手したら僕ら編集者より、たくさん本を読まれているかもしれません。とにかく「すごい作家さんだな」と思うことばかりです。
どの年代にも普遍的に面白いと思える魅力
──高橋さんの作品は「古びる」ということがないように感じます。昔の作品を今読み返しても面白いですし、大人から子どもまで面白いと思える作品を描き続けるのは、想像力を磨き、絶え間なくインプットもされているからなのですね。
森脇 小学生のファンの方から「お父さん・お母さんの本棚にあって読んだらはまってしまいました、すごい大好きです」というファンレターをいただくことが多いんですけど、これは、どの年代にも普遍的に面白いと思えるものを描いていらっしゃるからだと思います。ここ最近は、「お父さん・お母さん」だけでなく、「おじいちゃん・おばあちゃんの本棚にあって……」というのもあるので、全方位網羅しているなというのは感じます。
先日連載が終了した『進撃の巨人』の作者の諫山創先生がテレビに出ていらっしゃのを、たまたま高橋先生と一緒に見ていたことがあります。「次作の構想はあるんですか」と聞かれた諫山先生が「今はまだ次描けるかどうかわからないですね」とこたえていた時に、高橋先生が「また描きたくなるものですよ、漫画家というのは」と静かにおっしゃいました。何度も何度も新しい作品を立ち上げて大ヒットをとばしている高橋先生だからこそ、そういう気持ちがわかるんだろうなと、背筋が伸びる思いでした。国民的ヒット作を出したあと、高橋先生も諫山先生と同じような気持ちになったことがあるんだと思います。でもまた次を描きたくなる。だからこそ「諫山さんもそうだと思うよ」と言う高橋先生のお言葉には重みを感じました。