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 映画・ドラマの企画・プロデュースもさせていただいている筆者も小林さんの大ファンで、『犬刑事 INU-DEKA』(’99年)というオリジナル・ビデオ作品で猫のヤクザ、猫の又三郎というぬいぐるみキャラの声を演じていただいた。

 半ば当然の如く「次元大介調で」とお願いしたわけだが、「そういう注文が多いんだよね」と苦笑されながら、ものの見事に渋く演じてくださった。小林さんが演じると、愛くるしいはずの猫の着ぐるみの顔までナイスミドルに見えてしまうからじつに不思議だ。改めて小林さんの“声力”のすごさを痛感した。

「俺はそろそろずらかるぜ。あばよ」

『ルパン三世PART6』の公式サイト上で小林さんは「ルパンは俺にとって一生ものの仕事であった。命をかけてきた。我儘(わがまま)を言えば90歳までやっていたかったが残念。あとは、明夫ちゃんに委ねます。頑張ってちょうだい。最後にこれまで応援してくれた人たちにお礼を申し上げる。ありがとうございました。ルパン。俺はそろそろずらかるぜ。あばよ。― 小林清志」(一部抜粋掲載)と、次元に成りきってのコメント……というよりは、次元同様、仕事に命を懸けるひとりの男としてのコメントを発表されたが、思わず “あの声”で脳内変換されて読んでしまった。

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小林清志さん ©文藝春秋

 後任の大塚さんは、第1シリーズで五ェ門役を演じた大塚周夫さんを父に持つ名優中の名優。明夫さん主演のTVアニメ『ブラック・ジャック』シリーズ(’04~’06年)も大好きな筆者としては、ミーハーチックに大塚さんの次元にも期待を寄せているが、父子二代で『ルパン三世』の名キャラ二人を演じるレジェンドぶりにも感動を覚えてしまう。

 約半世紀を経て、キャラクターの声が継承されるなど、アニメ大国の我が国ならではのことではないだろうか? 小林さん、本当にお疲れ様でした。そして、こちらこそありがとうございました。大塚さん、新・次元を楽しみにしています。