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《寝屋川市中1男女殺害》「呪うことだけ考えて吊られて逝く」「復讐だ」山田被告が自ら“死刑”を選んだ本当の理由

《寝屋川市中1男女殺害》「呪うことだけ考えて吊られて逝く」「復讐だ」山田被告が自ら“死刑”を選んだ本当の理由

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粘着テープでぐるぐる巻き…残虐な手口で殺害

 大阪地裁で開かれた一審の判決文によると、検察側は2件の殺害容疑に対する死刑を求刑。対して弁護側は平田さん殺害容疑に対しては殺意のない傷害致死であり、星野さんの殺害容疑については、死因は熱中症等によるものだと無罪を主張している。

 星野さんの殺害容疑については遺体の腐乱状況がひどかったこともあり、多くは謎のままだ。しかし、遺体のうっ血の痕跡や歯や骨の変色などの理由から、一審では検察側が主張した首を絞めたことによる窒息死が採用された。

 平田さん殺害については、被告の残虐な手口が明らかにされている。

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 弁護側は、大きな声で叫ぶ平田さんを止めようとして、パニックになって首を絞めてしまったことによる事故死と主張していた。しかし裁判所は、数分にわたって体格差がある中学生の首を絞めたことに強い殺意を感じると判断。顔を何重にも粘着テープでぐるぐる巻きにしたことや、体に残った50以上の切り傷から、被告の「生命軽視の度合いの強さを表している」とした。

山田浩二被告の自宅マンション前に集まった報道陣 ©共同通信

 また、計画性の有無については、計画性はなかったと判断された。つまり、この事件は“突発的に発生した極めて残忍な事件”であるとされたわけだ。

死刑判決を受け、弁護士が即日控訴するも……

 弁護側の主張はほとんどが否定され、2018年12月19日に死刑判決が被告に言い渡された。

「当然、弁護側は即日控訴。高裁でも殺人罪の成立をめぐって争う姿勢でした。また、この控訴は遺族にとっても検察側にとっても織り込み済みだったことでしょう。一審では犯行の動機や事件の全容が明らかになっていなかったので、遺族も高裁で事件の真相究明がなされることも期待していたと思うのですが……」(前出・全国紙記者)

 しかし、2019年5月19日に山田被告は突如、控訴を取下げたのだ。

「山田被告自らによる控訴取下げに、関係者もマスコミもみんなが驚きました。被告は裁判でそれほど反省しているようには見えませんでしたし、かといって世を儚んで死刑を望んでいる様子でもなかった」(同前)

 この控訴取下げをめぐっては、約2年後の2021年8月25日に大阪高裁で控訴取下げが決定。この間、一体何があったのか。控訴取下げ決定の際に大阪高裁から出された《決定文》をもとに、死刑確定の経緯を追っていこう。

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