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 低成長を脱するために、政府はどうすればよいのだろうか?

「『どの分野が有望か』『どの分野を伸ばしていくべきか』ということは、あくまで民間や市場が決めるべきだと考えています。これまで日本は官が先にお墨付きを与え、そこに資金や人材を投じるという形をとっていましたが、政府が『次はこれだ』と方向性を押しつけるべきではありません。

 むしろ、フロンティアを切り開く異能の人々がなるべく出て来やすい環境を整備することが、政府の仕事です。そして、ひとたび創造的破壊をする開拓者が出てきたら、そうした企業に対して政府が税制優遇などで後押しをしていくべきです。民間企業がリスクをとってでも行動しやすいように環境を整備するのが、新しい時代の産業政策になるでしょう。そこはまさしく政治の役割です」

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「保守本流」のあるべき姿

 林氏の出身派閥「宏池会」は、吉田茂元首相の直系の弟子である池田勇人元首相に源を発する「保守本流」の牙城である。林氏は、いまこそ保守本流がその本領を発揮すべき時だと強調する。

「そもそも保守本流の歴史は、常にポピュリストに立ち向かってきた歴史でもあります。岸信介総理が日米安保条約を改定した際、反対運動が巻き起こって国会がデモ隊に包囲される事態となっても、岸総理は真正面から立ち向かい、政権と引換えに改定を成し遂げました。竹下登総理の消費税導入も同様です。その判断が正しかったことは、後世の歴史が証明しています。

岸田文雄氏 ©共同通信社

 かつて中曽根康弘総理は『政治家は歴史法廷の被告である』との名言を残していますが、政治で重要な視点は時間軸です。現時点で国民から支持されない政策であっても、後世のためには絶対やる必要のある政策もある。しかし小選挙区制導入以降、政策評価の時間軸が短くなってしまった。そこにネットの発展でポピュリズムが着火しやすくなっている。ここにどう立ち向かうかが、我々に与えられた最大の課題です。

 保守は必ずしも『守る』だけではありません。残念なことに、日本固有の伝統の成り立ちや系譜をよく理解していない人ほど、伝統墨守を叫んだりする。私たちは、変えるべきところは変えていかないと、守るべきものも守れない。それが保守のあるべき考え方と思います」

 林芳正・前参議院議員へのインタビュー全文は「文藝春秋」11月号および「文藝春秋 電子版」に掲載される。

文藝春秋

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「次の総理はこの私」