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病院の待合室にも置かれた“ヒットマン”ゴルゴ13…作者さいとう・たかをが語った「描きたかったもの」

2021/10/03
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デューク・東郷のモデルは…

 そんな先生の代表作と言えば、やはり『ゴルゴ13』(’68年スタート)だろう。冒頭で触れたように、さいとう先生の生前の遺志により、『ゴルゴ13』は今後も、さいとう・プロダクションや脚本スタッフなどが協力し連載を継続することも発表されている。その時々で、日本を代表する数々の名優たちとも重ね合わせながら、長年愛されてきた作品である。

 先に亡くなられた名優・千葉真一さんは映画でゴルゴ13を演じられたことがあり、1周忌を迎えた俳優・渡哲也さんもゴルゴ13のモデルと言われたこともあった。

 だが実は、さいとう先生の中でのデューク・東郷は高倉健さんがイメージだったという。実際に1本、高倉さん主演で映画も作られている(’73年のこと)。渡さんは単に『西部警察』シリーズ(’79~’84年)等で演じた役柄のイメージが似ていただけだが、その渡さん直系の俳優・舘ひろしさんが後年、TVアニメの『ゴルゴ13』(’08年)でデューク・東郷の声を演じている。

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デューク・東郷のイメージは高倉健さんだったという(写真は1974年)

 さいとう先生の親友でもあった石ノ森章太郎先生の『仮面ライダー』、藤子(・F・)不二雄先生の『ドラえもん』、先輩たる手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』、ほぼ同期のモンキー・パンチ先生の『ルパン三世』、後輩たる臼井儀人先生の『クレヨンしんちゃん』のように、作者死してなお、さいとう先生の『ゴルゴ13』や『鬼平犯科帳』(原作:池波正太郎)も後世まで語り継がれていくのだろう。

 デューク・東郷同様、その生みの親、さいとう・たかをもまた不死身の存在である。

病院の待合室にも置かれた“ヒットマン”ゴルゴ13…作者さいとう・たかをが語った「描きたかったもの」

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