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「YouTubeは昔のテレビに近づいている」「NHKはまさにサブスク」テレビ東京退社から半年…佐久間宣行が考える“テレビの今”

佐久間宣行さんインタビュー#1

2021/10/13
note

――特に反響が大きかった企画を教えてください。

佐久間 オードリー春日くんのドッキリ企画の再生回数が多いです。春日くんが偽番組の楽屋で謎の薬を飲みまくる「嘘ドーピング」を行って、それを見た女性アシスタントがどういう反応をするか検証するという内容なんですけど、撮っている時からとにかく面白かった。春日くんがここまでやれば、絶対に面白くなるという確信が元々あったけど、ターゲットの椿原愛さんがものすごく信じやすい人で。ドーピングしまくる春日くんを真剣に心配して泣いてくれたから、想定していた以上の出来になりました。

「出演者」になり見えてきたこと

――YouTubeやラジオで「出演者」の立場になって見えてきたことはありましたか?

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佐久間 出演者になって大変だと感じたのは、発言を「誤解」されてしまうことです。僕の言いたいことを、きちんと文脈をとらえて理解してくれる人って滅多にいなくて。ラジオは僕のことを知っている人たちが中心に聞いてくれているから、安心感があります。でも放送内容が切り取られてネットニュースになると、真意が伝わらない形で拡散される。それに対して物申したい人たちの悪意ある言葉がSNS上で増幅していく。そういうのが直接ぶつかってくるから、今の時代の出演者は本当に大変ですよ。

©文藝春秋

――プロデューサーとして、現場では盛り上がって面白くても、誤解を避けるために編集でカットすることもあるのでしょうか。

佐久間 沢山あります。この10年ずっとそうだったけれど、さらにセンシティブになってきていますね。

――テレビとYouTubeで、番組の作り方に違いはありますか?

佐久間 僕のYouTubeチャンネルでは「トーク企画」と「バラエティ企画」が2つの柱になっていますが、どちらもテレビ番組の作り方とあまり変わりません。バラエティ企画では、「僕じゃなきゃこんなに狭いところやらないよな」っていうドッキリをやっています。とはいえ、初めから“自分がやりたいこと”だけで勝負していません。僕の持っている特性の中から「強み」となる部分をまずは1、2年やってみて、そこから徐々に僕にしか出せないものを作っていこうと思っています。