衆院選挙が終わってからそろそろ1か月。では「大勝」自民党や政権の選挙後の様子はどうか。

 まず、今週日曜の読売新聞。

「官邸主導 不満募る自民」(11月12日)

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《衆院選圧勝で官邸主導が再び強まっていることに、自民党内で不満が渦巻いている。》

 なんと、党内で不満が渦巻いている!?

「党と官邸のせめぎ合い」をいち早くつついた毎日新聞

 その理由は、安倍内閣が掲げる「人づくり革命」などの政策が党の頭越しに打ち出されているためという。

総選挙は大勝したが ©橋本篤/文藝春秋

《逆に、党が巻き返して変更させた政策もあり、政府や国会を巻き込んだ党と官邸のせめぎ合いが続いている。》(読売 同)

「党と官邸のせめぎ合い」という言葉が。実はこの記事より10日前の毎日新聞にもこんな記事があった。

「自民党内 『政高党低』に変化の兆し 官邸主導に異論」(毎日新聞デジタル版 11月2日)

《衆院選の圧勝にもかかわらず、安倍晋三首相(自民党総裁)の政治手法や政権運営に党内から異論が出ている。》

 高い内閣支持率を背景に、政府が党を抑えてきた「政高党低」の構図に変化の兆しがみえる、と。

11月3日 毎日新聞朝刊 紙面より

「政高党低」の構図に、どんな変化の兆しがあるのか?

 具体的にあげると、

・特別国会の日程。首相官邸が主張した実質審議なしの8日間の会期を党側がくつがえし、39日間になった。

・野党が反発している衆院での与野党の質問時間配分の見直しを巡っても、党内から批判。

・首相は幼児教育無償化などの財源として産業界に3000億円の拠出を求めたが、小泉進次郎筆頭副幹事長は1日、記者団に「全く党で議論していない。このままなら党は要らない」と訴えた。

小泉進次郎氏 ©山元茂樹/文藝春秋

 ではここで選挙直後の各紙を見てみよう。まず朝日新聞。

「首相 問われる『謙虚』」(11月2日)

《衆院選中も、首相の不支持率が高いまま推移。自民の閣僚経験者は「体感として、安倍さんが飽きられ、人気がないのに勝ったことは分かっている」。議員たちのそうした心理が、党内力学を変えつつある。》

「問われる謙虚」と言っても、この記事は政権に厳しい朝日新聞だからだろ? と思う方もいるだろう。では政権と近いと言われる読売新聞も見てみる。こんな記述が。

《加計問題を巡っては、野党の攻撃に首相や閣僚が感情むき出しで反論する場面が目立ち、「おごり」「慢心」と強い批判を招いた。》(11月3日)

 やっぱり読売も首相の感情むき出しの場面は気になっていたようだ。