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 さらに面白いのはマクロ撮影です。被写体にわずか2cmまで寄ってもきちんとピントが合いますので、ペットの毛並みや、肉眼では読み取りにくい小さなテキストをルーペのように拡大表示したりと、さまざまな用途に活用できます。これは今回のiPhone 13 Proで初めて搭載された機能で、過去のモデルから買い替えると新鮮に感じられることは確実です。

わずか2cmまで寄ってもきちんとピントが合います。ペットのほかプラモやフィギュア、ぬいぐるみの撮影などにも活用できます
左がiPhone 13 Pro、右がiPhone 13で近接撮影を行った画像。iPhone 13ではまったくピントが合いませんが、iPhone 13 Proであればお手の物です

 このほか、夜景を明るく写せるナイトモードは両製品とも対応しますが、ポートレートモードでナイトモードが使えるのはiPhone 13 Proだけだったりと、カメラまわりはレンズなどの違いだけでなく、ソフトウェア側も大きな違いがあります。カメラでの撮影を存分に楽しみたいという人は、予算面で多少無理をしてでも、iPhone 13 Proを選ぶべきでしょう。

バッテリーの持ちのよさはiPhone 13 Proの大きなメリット

 パフォーマンスはどうでしょうか。使用しているプロセッサ(A15 Bionicチップ)は、GPUのコア数がひとつ違う以外は、違いはありません。一方メモリについてはiPhone 13が4GBなのに対してiPhone 13 Proは6GBとわずかに多いなど、iPhone 13 Proのほうが全体的に底上げされている格好です。

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 ただし複数のアプリでベンチマークテストを行った限りでは、これらの違いがスコアに与える影響は、意外にも軽微です。GPUまわりでは30%近いスコア差も見られるため、ゲーム用途などでは影響がありそうですが、それ以外はおおむね10%以下しかありません。

 前述のカメラにおける望遠レンズのように、そもそも搭載されていないとカバーのしようがない機能と異なり、10%に満たないパフォーマンス差は、多少我慢すればスルーできる範囲です。あらゆるスペックに最上級を求める欲張りなユーザを除けば、こだわらなくてはいけないのは、ゲームユーザくらいでしょう。

ベンチマークアプリ「Geekbench 5」でのスコア比較。シングルコアとマルチコア、どちらも誤差レベルの違いしかありません
一方、GPUの処理速度を示すメタルスコアでは、約29.5%の違いがあります。ゲームを楽しむユーザは、Proのほうがストレスなく使えるかもしれません

 このほかiPhone 13 Proは、ウェブブラウザなどで画面を縦スクロールしている最中でも、流れる文字をしっかりと読み取れる、ProMotionテクノロジーなる技術に対応しています。目が疲れやすいユーザにとっては、iPhone 13 Proのほうが有利です。

 そして、どうやらその恩恵を受けたと見られるのが、バッテリーの駆動時間です。前述のProMotionテクノロジーでは、表示する内容に合わせて、画面のリフレッシュレートを可変させています。スクロールする時はパラパラマンガのコマ数を増やし、そうでない時は減らすイメージです。これは電力の消費量を節約する効果もあると言われています。

 そのせいか、iPhone 13 Proは、バッテリーの容量そのものはiPhone 13よりも若干少ないにもかかわらず(iPhone 13は3,227mAh、iPhone 13 Proは3,095mAh)、駆動時間はビデオ再生で3時間プラス、ストリーミング再生で5時間プラスと、Proのほうが長時間駆動するという、逆転現象が起こっています。

 もともと今回のiPhone 13シリーズは、従来モデルに比べてバッテリーの持ちが2割ほど改善されていますが、iPhone 13 Proに関しては、さらにプラスアルファの恩恵が受けられるというわけです。動画の長時間撮影やゲームなど、バッテリーの消費が激しい用途で使う人は、iPhone 13 Proを選ぶほうがよいでしょう。