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「私は学校も許せません」男性コーチにわいせつ行為を受けた野球部員の保護者が怒った異例の“授業料催促”《大阪偕星学園高校》

「私は学校も許せません」男性コーチにわいせつ行為を受けた野球部員の保護者が怒った異例の“授業料催促”《大阪偕星学園高校》

2021/10/17
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「弁護士さんから経緯の説明を受け、初めて学校から謝罪の言葉がありました。事件の発覚から1カ月以上経ってからです。学校の弁護士は水落が犯行に及んだ理由を、山本監督からのパワハラでストレスを溜め込んでいたと説明し、『水落も被害者なんです』と言いました。それに同情する保護者もいたようですが……」(C君の母親)

 そして4家族だけへの説明の2日後、2月18日に野球部全体の保護者説明会が開催された。C君の母親が続ける。

「被害に遭っていない生徒の保護者もいるところで、弁護士さんはセクハラの内容を説明していったんです。被害者からすれば耳を覆いたくなるような話まで、ですよ。あまりに無神経で、被害者感情を逆撫でする行為で、学校側の誠意が感じられませんでした。そんな状態で『意見があるならおっしゃってください』と言われたって、被害者家族が声を挙げることなんてできるはずがありません」

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マッサージなどが行われていた野球部の施設

「被害者ひとりにつき10万円しか払えない」

 2度目の保護者会が開催されたのは、1カ月後の3月23日。前日に水落が懲戒解雇となり、山本監督の依願退職も決まっていた。しかしこの時も全生徒の保護者が対象だったため、まず事件をきっちり処理したいと考える被害者家族と、少しでも早く野球部の活動を正常に戻してほしいと考える被害を受けていない家族との意識のギャップを生んでしまった。

「自分の子供が事件に関わっていない保護者としては、野球部の活動がどうなるかが気になるのは仕方ないですよね。説明会も事件の対応より野球部の今後の話ばかりで、被害を受けた家族はみんな釈然としない表情でした」(D君の母親)

大阪府警

 水落が去り、監督も交替した4月の時点で、被害者家族は水落の教員免許剥奪を訴えていたものの、警察に被害届を提出するつもりはなかったという。

「当初は被害届を出さず、民事裁判で問題を解決できたらと考えていました。いわゆる賠償金も、私たちはどれほどの金額が適当かわからないので弁護士さんにお任せしていたんです。すると4月頃になって『被害者が14人もいるので、被害者ひとりにつき10万円しか払えない』という連絡が水落側から届いた。金額の大小は気にしないつもりでしたが、あまりにもバカにしていると感じました。『0がひとつ少ない』と抗議する被害者の親もいました。その後20万円と提示されましたが、示談に応じる気持ちはとうになくなっていました」(D君の母親)