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 BTSは2018年にも国連でスピーチを行っており、同年に文大統領がフランスを国賓訪問した際にも、現地で行われた「韓仏友情コンサート」に出演。文大統領も同公演を観覧し、終了後には壇上でメンバーたちとハグまでした。昨年も、BTSは大統領府の庭園「緑地園」で行われた記念式典に招待されている。

BTSに旅費を支払っていなかった?

 韓国の大統領が国内の大衆スターに近づくことは過去の政権でもあったが、文大統領が築いているBTSとの親交は「国民の支持を得たいがため」「BTSを通じて自分のメッセージを発信するため」と冷ややかに解釈している国民が多い。

 そんな中、先月国連総会に同行した際、BTSには航空費、宿泊費、食費などの旅費が支払われていなかったとの驚くべき疑惑が浮上。韓国国内で大きな話題になっている。

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 同疑惑は、最大野党「国民の力」の崔在亨(チェ・ジェヒョン)前監査院長が、9月30日、代弁人を通じて指摘したことで明るみに出た。実際、同党の曺明姫(チョ・ミョンヒ)議員が同日、外交部から提出を受けた「UN総会出席関連支出費用内訳」によると、外交部はBTSに対して何らの旅費も支給していなかった。

 実は、文政権には“前科”がある。2018年に文大統領がフランスを訪問した際にも、BTSに対して諸経費を支払っていなかったのだ。

「韓仏友情コンサート」(2018年)でBTSのメンバーにハグをする文在寅大統領 ©AFLO

文在寅のサインが入った「イニ時計」で相殺

 韓国のニュースサイト「イーデイリー」が2019年6月23日に報じた記事によると、当時BTSが受け取ったのは旅費ではなく、文大統領のサインが入った「イニ時計」だった(「イニ」は文大統領の愛称)。

 大統領府の卓賢民(タク・ヒョンミン)儀典秘書官は「(BTSに対し)経費を払うと言ったが、それだけでも1億〜2億ウォン(約1000万~2000万円)になる。感謝の気持ちを込めて『イニ時計を差し上げる』と言ったら、ありがたくも(BTS側が)時計で相殺すると言ってくれた」と説明した。

 そして今回も「BTS無給論争」が激化し、世論の批判が高まると、卓儀典秘書官が釈明に乗り出した。10月1日には、韓国CBSラジオのインタビューに出演し、「BTSのメンバーから“お金は10ウォン(約1円)も受け取らない”と言われた」と説明。

 結局、大統領府は「まだ支払ってはいないが、支払うための計算は終えている」と苦しい言い訳に終始し、総額で17億ウォンかかった経費のうち、7億ウォンを政府が、10億ウォンを事務所が負担したと発表。しかし、当初から説明が二転三転していることもあり、文政権への疑念が晴れたとはいいがたい状況だ。