1ページ目から読む
3/3ページ目

国連総会で「本当に伝えたかったメッセージ」とは?

 一方、今回の国連総会に関する話題は、韓国国内でもBTSに集中していて、文大統領がスピーチでどんなメッセージを発したのかに注目している人は少ない。実は、文大統領は2018年の第73回、2020年の第75回に続いて、今回も「朝鮮戦争の終戦宣言」について触れており、これこそがメッセージの核心だったと考えられる。

 今回も文大統領は、「朝鮮半島の終戦宣言のために国際社会が力を合わせてくださるよう再度求める」「南北と米の3者、または南北と米中の4者が集まって、朝鮮半島での戦争が終結したと宣言することを提案する」と述べた。

 任期末である現在、文大統領はこの「終戦宣言」を必死で推進しているが、その実現は不可能に近いと見る人がほとんどだ。というのも、対話のカギを握る北朝鮮と米国の見解が、平行線をたどっているからである。

ADVERTISEMENT

「韓仏友情コンサート」の公演後にBTSと記念撮影をする文在寅大統領と金正淑夫人 ©時事通信社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が新年の辞で述べている「朝鮮半島の非核化」は、「韓国が在韓米軍を撤収させる」ことを前提にしている。先に米軍を撤収させ、米韓連合司令部を解体したのち、北朝鮮の核兵器を段階的に解体するという意味だ。

 一方、米国が望む政策は「FFVD(最終的かつ完全に検証された非核化)」。これにより北朝鮮の非核化が遂行されれば、制裁を解き、経済・政治的支援を行うことになる。

 韓米同盟の解体か、核兵器の撤収か。「朝鮮半島の非核化」に関する北朝鮮と米国の立場は、相容れない。それでも、「朝鮮半島の終戦宣言」を任期満了7か月前に強調した文大統領。BTSとともに踊る彼が夢見る朝鮮半島の未来とは、どのようなものなのだろうか。