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 超高級ホテルに勤める私の知人によれば、超高級ホテルにとっては、ただ泊まるだけならばこんなにありがたい話はないという。特にこうしたホテルに憧れて、背伸びをして予約してくる客の多くは宿泊するだけで、ほかに何のサービスも要求せず、朝は近くのコンビニで買ったおにぎりを食べてチェックアウトするのだそうだ。

 ただ寝るだけならば、1泊で何万円もの大枚をはたくのは、ホテル側からみればカモな客だ。

「超高級ホテルを使いこなす」とはこういうこと

 超高級ホテルを使いこなすには、チェックインをしたら荷物はボーイに運んでもらう。これはあたりまえ。案内をしてくれたホテルマンにはシャンパンとアイスボックスを部屋まで届けるように頼む。夕食時にはコンシェルジュに電話。今夜はインド料理が食べたいのでお勧めのインド料理店の予約を指示。ホテル外のお店なら当然リムジンカーを手配。ホテル帰館後は最上階のバーラウンジでコニャックを、最上のチーズを添えて。ターンダウン後のベッドで寛ぐ前に軽い夜食かデザートまたはチョコレートを部屋まで所望。連れに誕生日などのイベントがある場合にはサプライズケーキを部屋に届けさせ、バースデイソングを歌わせる。翌日の朝食はもちろんルームサービスで、細かく時間も指示。できれば卵の焼き加減やフルーツを多めになどの希望を。翌日のミュージカルの手配もよろしく。え? もちろん1泊じゃだめだ。できれば3泊くらいして、帰りは地下鉄ではNG。ハイヤーかタクシーを呼んでホテルマンに恭しくお辞儀をされながらホテルを後にする。ここまでホテルマンを使いこなすことができれば超高級ホテルに泊まる意味があるという。

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 いつも恭しく振舞っているホテルマンたちだが、実はよーく客を見ているのだ。ホテル業界恐るべしである。