傷つき悩む人々に寄り添う、一匹の犬がいた──。『少年と犬』は、2011年の東日本大震災で飼い主と離ればなれになった犬”多聞”が、北から南へと旅するなかで、さまざまな人々との出会いと別れを繰り返す物語です。人間という愚かな存在を”多聞”通して描いた馳星周の直木賞ベストセラーが、『星守る犬』の村上たかしによって、このたびコミカライズされました。
無職の男と迷い犬が震災の町で出会った
震災のあった街で、無職の木村は迷い犬の“多門”と出会う。
このままでは保健所に連絡され、”処分”されてしまう……。木村は多聞を飼うことにする。二人はコンビを組み、外国人窃盗団のドライバー役を務めることに……。
多聞は、窃盗団にも“守り神”として重宝がられる。また、認知症の木村の母親を元気にさせる。多聞には、傷ついた人を癒す不思議な力を秘めていた。
だが、平穏な日々も続かない。窃盗団とヤクザのトラブルに巻き込まれ、木村は生死不明の状態に。そして多聞は窃盗団のリーダー、ミゲルに連れ去られてしまう……。