2021年8月1日に大津市の少年(18)が6歳の妹を暴行して死亡させた事件。兄妹の40代の母親が覚せい剤や大麻などの違法薬物を所持していた疑いで、滋賀県警は母親を覚醒剤取締法違反などの疑いで逮捕した。
死亡事件当時、母親は「できることなら、またいつか一緒に暮らしたい」と、息子や妹への思いを語っていた。一家の置かれた状況を詳報した記事を再公開する。
(初公開日 2021年8月7日 年齢などは当時のまま)
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「オレ、捕まるのかな……」
事件があった8月1日、警察の事情聴取を終えて自宅に帰宅した17歳の少年は、不安そうな声で母親に一言、そう漏らした――。母親は「Mは何か言っていた?」とだけ聞くと、それ以上少年を問いただすことはなかった。
8月1日、滋賀県大津市の17歳の無職の少年が小学校1年生の妹Mちゃん(6)を暴行して死亡させた事件。少年は当初、「妹が公園のジャングルジムから転落した」と言って、近隣住民に助けを求めた。しかし、その後の警察側の捜査で、実際には兄である少年がMちゃんを自宅で殴ったり蹴ったりした揚げ句、右副腎破裂やろっ骨骨折などのケガを負わせ、死亡させたと見られている。
文春オンラインはこれまで、Mちゃんが亡くなるまでの経緯や、Mちゃんの家庭が経済的に困窮し、家賃を滞納していた事実などを報じてきた。
その後の取材で、事件の数日前から母親が子供2人を残して1週間ほど家を留守にしていたことがわかった。Mちゃん家族をよく知る人物が説明する。
体の右半分にアザが集中していた
「Mちゃんが亡くなった日、母親は大津ではなく大阪に滞在していました。もともと母親は家を空けがちで、今回も数日前からMちゃんと少年の2人を残して家を離れていました。8月1日の朝に警察からの電話で『Mちゃんがジャングルジムから転落して救急車で運ばれた』と聞かされ、慌てて車で大津へ向かっていましたが、その時も怪我程度だろうと思っていたようです」
しかし、Mちゃんは搬送先の病院で死亡が確認された。捜査関係者は、Mちゃんの遺体の“異様さ”を指摘する。
「Mちゃんの死因は『外傷性ショック』です。遺体は目が開いたままの状態だった。体には無数のアザが見つかったが、その大半が体の右半身に集中していた。これは左利きの人間が暴行を加えた時に起きる特徴。そして事件当時一緒にいた17歳の少年は左利き。不審に思った警察は、事件当日から少年による暴行の可能性を想定して、少年と駆けつけた母親の2人に事情を聞いていた」