「叫び声と煙…危険を感じた」乗客の証言
九州新幹線の座席に座る黒い帽子の男。その周りを取り囲む警察官。
2021年11月8日の朝、熊本の新八代駅で九州新幹線が緊急停止した。実はこの直前、乗客たちは命の危険を感じていたのだ。
「車内で火がついた」
警察によると、熊本駅から新八代駅へ向かっていた九州新幹線「さくら401号」の車内で、男が液体をまき、ライターで紙に火をつけ床を燃やそうとしたという。
同じ列車内にいた人は、緊迫した当時の状況をこう証言した。
同じ号室にいた女性:
火の手が上がって、みんなで後方に移動した。びっくりしました。煙はあったので危険を感じた
同じ新幹線にいた女性:
3号車の乗客がたくさん「火事だ!火事だ!」って大きな声で叫んできた。そのときは心配した
新幹線は非常ブサーを受けて緊急停車。車内の一部から煙が上がったが、火に気がついた車掌が消火作業を行い、乗客乗員約140人にけがはなかった。
京王線の刺傷放火事件に影響を受けたか
駆けつけた車掌と乗客に取り押さえられ、現住建造物等放火未遂の現行犯で逮捕されたのは、福岡市博多区の無職、三宅潔容疑者(69)。
警察の調べに対し、容疑を認めた上でこう供述しているという。
三宅潔容疑者:
東京の京王線で起きた事件をニュースで見てやった。
10月31日、東京・調布市を走行する京王線の特急電車で起きた事件。乗客が切りつけられ火が放たれ、あわせて17人が重軽傷を負った。
逮捕された福岡市出身の服部恭太容疑者(24)は、「たくさんの人を燃やして殺したかった」と供述している。
三宅容疑者は、この事件を模倣して犯行に及んだというのだ。
知人に送った手紙「きょうで最後、終わり、さようなら」
福岡市博多区に住む三宅容疑者はどんな人物だったのか。
自宅とみられるマンションで取材を進めると…
三宅容疑者とみられる男を知る人:
気が強いおじいさん。仕事はされていないですね。生活保護と言っていた。むやみに人に迷惑かけるようなことをするという感じではなかった
さらに三宅容疑者の自宅近くに住む知人を取材したところ、郵便受けに三宅容疑者の自宅の鍵と共に「きょうで最後、終わり、さようなら」などと書かれた手紙を残していたことが分かった。
また11月7日の夕方には、別の知人に「いま熊本にいる」「死のうと思ったけど死にきれない」などの電話があったという。
何が三宅容疑者をあのような犯行に駆り立てたのか。警察は動機や当時の状況などについて調べを進めている。
(テレビ西日本)