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「(酔いの程度は)ほろ酔いで、いつもより気分が高揚しているくらいでした。眠気や足元がおぼつかないことはありませんでした。3軒目のお店で被告人から『けっこう酔ってるじゃん』『酔い止めの薬だよ』と言われ錠剤を2錠渡されました。普段なら疑うと思いますが、酔っていたこともあって被告人の言葉を信じて飲んでしまいました」

 渡されたのは銀色のアルミが裏にはってあるシートで、中には白くて丸い錠剤が2つ入っていた。Eさんはそれまで飲酒して飲食店で眠ってしまうようなことはなかったというが「急に目の前が暗くなって記憶がなくなっていた」という。しかし覚えている場面が2つあると語った。

「被告人はタイプではありません」

「1つはお店を出るよと言われて起こされた場面。もう1つは外を歩いていて地面が近づいてきて、そこで途切れました。(地面が近づいてくるというのは)自分が前に倒れそうになったときの目線の感じ」

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リクルートの本社がある丸の内のグラントウキョウサウスタワー ©文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

 その後の記憶はなく、Eさんは翌日の午前中に丸田被告の自宅で目を覚ました。丸田被告はEさんの隣で寝ていたという。Eさんがすぐに服装を確認すると着衣に乱れはなかったが、シーツには経血による大きいしみができていた。

「服装の乱れがなかったということもあり、性行為があったと思いたくありませんでした。(自分から)性行為をもちかけたことや承諾したことはありません。誤解を与える様な言動もありません。そういった意図もありません。被告人はタイプではありません」(Eさんの証言)

 それ以降、Eさんは丸田被告と連絡をとることも会うこともなかったが、警察の連絡を受けて事件を思い出したという。

「被告人が別の事件で逮捕されて、余罪を調べていく中で私が被害者と判明したと警察から電話がきました。『あの時、やっぱりそうだったんだな』と思いました。これまでの飲み会で突然記憶がなくなることはなかったので不思議に思っていました」(Eさんの証言)

 Eさんの証言を聞く間、丸田被告は表情を変えずに天井を見上げたり、うつむいたりしていた。Eさんの事件について「記憶が定かではない」「留保とさせていただきたい」と語る丸田被告。裁判は今後も続いていく予定だが、丸田被告が心からの反省を示す日はくるのだろうか。