9月7日にも性的暴行の疑いで9回目の逮捕となり、予定されていた第2回公判は延期された。あらためて11月8日に行われた第2回公判では、証言のために出廷した被害者の個人情報の秘匿が決定されていることが裁判長から確認されると丸田被告は小さく「はい」と答え、「Eさんとします」と言われると「Eさん…E…あ、はい」としどろもどろになりながら回答した。
「認否は留保ですか?」「はい」
丸田被告は2018年9月20日に知人宅で行われたホームパーティーでEさんと知り合い、連絡先を交換。同年10月5日の夜にEさんと2人で食事をし、睡眠作用のある薬物を摂取させた。その薬理作用により抗拒不能状態(身体的または心理的に抵抗することが著しく困難な状態)にしたうえで被告人の自宅で性行為に及び、さらにその様子を撮影していたと起訴状には書かれている。
これらの事実を認めるかを問われた丸田被告は「一連のことについては記憶が定かではないので留保とさせていただきたいです。一方で被害者に取り返しのつかないことをし、なんてことをしてしまったのかと大変申し訳ない気持ちです」と語り、再度「認否は留保ですか?」と裁判長に確認されると「はい」と答えた。
この日の公判では、Eさんが傍聴席と被告人席から姿が見えないよう遮蔽措置が取られたうえで証人として出廷。丸田被告の恐るべき手口が明らかになった。
Eさんから見た丸田被告の第一印象は「気さくな感じで自分の仕事の話をしていて、仕事が好きなのかなと思いました。リクルートに勤めていて『じゃらん』を経験しているからおいしいお店を知っているという話をしていました」というものだった。
2018年9月20日に赤坂で行われたホームパーティーでは4、5人がグループになって会話をし、連絡先も交換していた。Eさんは丸田被告とも連絡先の交換はしたが「好意はなくいち友人くらいの好意で、タイプでもありませんでした。被告人の顔はネットで調べて思い出しました」と当時を振り返った。
その後、Eさんは丸田被告から2人での食事に誘われた。Eさんは1軒目で帰る予定だったが、会話の途中で「牡蠣が好き」という話をしたところ丸田被告から「牡蠣のおいしいお店を知っているから」と2軒目に誘われた。終電までまだ少し時間があり「サッと食べて帰れば大丈夫だよ」という丸田被告の言葉を信じ、2人はオイスターバーに移動した。
「間に合わなかったね」
しかし料理はなかなか出てこず、Eさんは終電に間に合わないと丸田被告を促したが「もう間に合わないんじゃない?」と急ぐ様子を見せなかったという。その後、店を出て駅に向かう際も丸田被告はゆっくり歩いていたと当時の様子を語った。
「終電があるため早歩きか小走りで行きたかったのですが、被告人がゆっくり歩いていたので、できませんでした。2軒ともお会計は被告人だったので置いていくのは失礼かなと思い、置いていけませんでした。被告人は『もう間に合わないんじゃない?』と言ってきたので『急げば間に合うと思うから急いでほしい』とお願いしましたが応じてくれず、不誠実だと思いました」
そしてEさんが改札を通ろうとした時にちょうど終電が行ってしまった。丸田被告は「間に合わなかったね」と言い、朝まで飲むことになったという。わざと終電に間に合わせなかったような丸田被告の言動に不信感を持ったが、3軒目でEさんは丸田被告に睡眠薬を飲まされ、意識を失った。その状況をEさんが法廷で明らかにした。