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「ある親方」が匂わせるもの
3紙にはそれぞれ「ある親方」という人物がコメントしている。
《「普通、トラブルがあったら協会に説明するのが筋。それを貴乃花親方は自身が評論家を務めているスポーツ紙が報道するまで当たり障りのないことしか言わず、いきなり警察に被害届まで提出している。これに多くの親方衆が『順序が逆だろう!』と怒っている。》(日刊ゲンダイ 11月15日)
記事中の「ある親方」は「第一報を報じたスポニチと貴乃花の関係」を行間で匂わせている。こんな騒ぎになったのは貴乃花側が関係の深いスポニチにリークしたからだと。
しかし、逆から見ればこの「ある親方」は相撲協会側の人間だ。「スポニチ&貴乃花親方」が先行する情報戦に対し、他紙にコメントすることで協会が巻き返しを図っているとも読める。どちらもマスコミを通じて自分たちの正義をぶつけ合っているのだ。
もし貴乃花親方が(報道の通りに)相撲協会に不信感があるなら、弟子が暴行された事実調査を協会に任せたくないのは予想できるし、協会で浮いているというのが本当ならマスコミに公表することで世間を味方にするしかない。対する協会は「そのやり方はおかしい」という情報を出し続けるしかない。これはやはり「戦い」なのである。