「診断書」に注目してわかったこと
今回、私が注目したのは「診断書」だ。
それは貴ノ岩ではなく、「加害者」日馬富士の診断書である。
事件が報道された3日目から休場した日馬富士。私はてっきり事件の責任をとって休場したのだと思った。しかし休場理由は「怪我」なのだという。
「左上腕骨内側上果炎、左尺骨神経痛で約6週間の加療を要する」との診断書を提出した。
約6週間の加療……?
いっぽう貴ノ岩の診断書はどうだったか。
《貴ノ岩は秋巡業後の11月5日から9日まで福岡市内の病院に入院して、13日に日本相撲協会に診断書を提出した。病名は(1)脳しんとう(2)左前頭部裂傷(3)右外耳道炎(4)右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑い。全治2週間程度で、状態が安定すれば、復帰が可能という。》(スポニチ 11月14日)
「ビール瓶で頭を殴られた貴ノ岩」は全治2週間で、当日の朝も稽古していた日馬富士は6週間の加療。「日馬富士はホントにそんな大怪我なの?」と思った。しかしすぐにハッとした。
これは「診断書なんていくらでも大げさに書けるんだぞ」という日馬富士の捨て身のメッセージだったのではないか?
そんな想像すらしてしまうほど、双方の出した診断書は不思議だった。
錯綜する「診断」
貴ノ岩の診断書に関しては朝日新聞がそのあとスクープ。
「県警への診断書 骨折なし 貴ノ岩側 協会提出分と異なる 」(11月17日)
《大相撲の横綱日馬富士(33)が幕内貴ノ岩(27)に鳥取市内で暴行した問題で、貴ノ岩側が日本相撲協会と鳥取県警に提出した二つの診断書の内容が異なることが16日、関係者への取材でわかった。》
《協会への診断書は頭部の骨折などで全治2週間などと記されているが、県警への診断書の症状はこれより軽く、骨折は含まれていないことも明らかになった。》
話を戻すと、日馬富士の暴行はアウトである。これは大前提。
しかし「診断書」の攻防を見ても、今回は壮絶な情報戦であったことは間違いない。
読み比べの甲斐があり過ぎたのである。