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立憲民主党・泉代表が“絶対に使ってはいけない言葉”と岸田政権の「提出期限ギリギリの宿題」

政治学者・御厨貴インタビュー #2

2021/12/04
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泉代表が率いる立憲民主党の行く末は…

立憲民主党両院議員総会後の記者会見で写真に納まる(右から)逢坂誠二代表代行、泉健太代表、西村智奈美幹事長、小川淳也政調会長(12月2日) ©時事通信社

――野党第1党の立憲民主党は、泉健太さんが新しい代表に選ばれました。何か変わるでしょうか。

御厨 今回代表選でわかったのは、結局、立民は「枝野商店」で、枝野社長が辞めたあとに残った人はどんぐりの背比べだということです。本当の修羅場を経験していない人たちの執行部では、百戦錬磨の自民党に手玉に取られる可能性があります。

 立民の代表選に出た4人は、揃って共産党との共闘見直しを口にしました。それに対して共産党の志位委員長は、「公党が公式に結んだ合意は、国民への公約だ」(11/26朝日)と反発。しかし、泉代表は就任後も「前回の総選挙に向けて交わしたものと理解していて、現時点で何かが存在しているとは思っていない」と記者会見で答えるなど、両者の微妙な距離が浮き彫りになっています。

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 この先、小選挙区での共闘はありうるかもしれませんが、自公連立のように国政まで広げるのは無理です。野党が共闘しなければ、政権は取れません。しかし単に立民と共産が協力する程度の怪しげな枠組みでは、政権交代は実現しないでしょう。

 今回の衆院選で当選した議員の多くは、共産から票をもらわなかったら落選していたはずです。新しい票を開拓するよりも既成の団体から票をもらうほうがどんなに楽か知ってしまった。この人たちは、もう「提携を切る」なんて言えません。自民と公明が、お互いに離れられないのと一緒です。すると立民の行く末は、分裂だと思います。絶対に共産党の票が必要な人と、なくても当選できる人は、もはや一緒に戦えないでしょう。

なぜ自公政権は20年以上も連立できるのか

――自公政権は、ますます盤石というわけでしょうか。

御厨 野党の「協力」に比べ、与党のそれはもっと綿密に組まれた強固なものですからね。

自民党と長年連立を組んできた与党・公明党の山口那津男代表 ©JMPA

 たとえば、公明党の大臣ポストは、1つと決まっています。国家にとって重要な財務や外交、防衛は与えず、国民に近い厚生労働や、最近ではずっと国土交通です。これは、自民党にとっても都合がいい。党内の特定の議員や派閥に任せると、利権が集中してしまう分野だからです。

 公明党の課題は、戦う目的が見えないことでしょう。政権を取るとか、この法案を通すという目的があれば選挙も頑張れますが、マンネリ化してくると議員にとっては辛い。現在のように既得権益を守るためだけの選挙では、ただでさえ高齢化している創価学会員を動かす要素が少なくなってきています。