維新の会の弱点と、国民民主党の“落とし穴”
――衆院選で議席を4倍に増やした日本維新の会や、野党共闘と一線を画そうとしている国民民主党はどうですか。
御厨 維新は風が吹いて当選しただけで、しっかりした「後援会」があるわけではありません。したがって、次に違う風が吹いたらどうなるか、現状ではまだまだ安定感はありません。
維新が今後伸びるとしたら、自民党と違った形の組織を作ることです。維新の特徴は、「地方の首長たちの政党」であるところ。それは彼らの弱点でもあって、外交ではわかりやすく強硬な姿勢である一方で、いざ内政のことになると漠然と「改革」としか言えないのです。要するに首長さんたちの政党だから、それぞれの地域で何を改革したらいいのかがバラバラなまま。
それゆえ、今後地方の首長たちがそれぞれできることから始め、課題を明確にしていくことができれば、「自民党の補完」にはならない、独自の存在感を持った勢力になる可能性があります。
地方を重視し、各地方に届くような政策を地道に立案していくなら、中央ばかり向いている自民党はまず敵いません。逆に、それを抜きに「憲法改正だ」「防衛力の強化だ」と“空中戦”ばかりいっていると、地方に近いという“足もと”の強みを生かせず、うまくいかないでしょう。
国民民主については、立民が左に寄りすぎて割れるとすれば、また一緒になりたいと言う人たちが出てくるはずです。いまのところ国民民主だけでできることはありませんから、まずは現在の路線を保つことです。自公と連立を組むなどは、考えないほうがいい。それをやるとかつての新自由クラブなどと同じく、飲み込まれて独自の色を失って消えてしまう結果になります。玉木代表は、その点に注意したほうがいいと思います。