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松尾容疑者が歩いて外出する姿が近くの防犯カメラに…

 当日、兄弟の父親は午後11時半に近所のスーパーに勤めている妻を迎えに車で出かけたという。火が上がったのはその直後。出火直後には幼い兄弟と共に家に残っていた松尾容疑者が歩いて外出する姿が近くの防犯カメラに映っていた。一方、両親がスーパーから帰ってきたのは日付が変わった20日午前0時半。母親は泣き崩れ、今にも倒れそうだったという。

「焼け跡からはすぐに放火の痕跡が見つかりました。ガソリンが撒かれた反応があったんです。駐車場からは農機具に使うためのガソリンの携行缶も見つかりました。警察はすぐに行方がわからなくなった松尾容疑者が事件に関与した疑いが強いとみて追跡を始めました」(同前)

周囲には田園が広がる ©文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

「布団にガソリンを撒いて火を付けた」「出かけるのを待っていた」

 その足取りを追うのに警察は4日間を要した。松尾容疑者は自宅を後にすると1キロほど離れたコンビニへ行き、食べ物を購入。翌朝には10キロほど離れたJR明石駅の防犯カメラに映っていた。ここから電車で大阪へ行き、数日を過ごしていたとみられている。

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「そもそも松尾容疑者は十数年以上前に実家を出てからずっと大阪に住んでいました。西成の自立支援施設にいたり、路上生活を送ったりしていたようです。土地勘のある場所に逃げたのでしょう」(同前)

 防犯カメラなどから行方を追った警察が松尾容疑者を見つけたのは24日昼。場所は、大阪市北区にある扇町公園だった。数千円の現金を持っていたという。

 逮捕された松尾容疑者はすぐに容疑を認めた。

「布団にガソリンを撒いて火を付けた」

 そう供述し、さらに続けた。

「(兄弟の父親が)出かけるのを待っていた」

 幼い2人の甥が寝ていたにもかかわらずだ。

妹一家とは普段から関係が良くなかった

 松尾容疑者が同居する妹一家に抱いた感情とは何だったのか。関係者は一様に「疎ましかったんだと思う。普段から関係が良くなかったようだ」と話す。

©文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

 前述したように十数年以上前に大阪へ出た松尾容疑者だが、数年前に実家に戻っている。連れ帰ったのが妹夫婦だった。

「妹夫婦も別の場所に住んでいたが、おばあちゃん(松尾容疑者の母)の具合が悪くなり戻ってきた。その後に松尾容疑者のことも心配して呼び寄せたようだ」(一家を知る地元住民)