兵庫県加古郡稲美町の木造2階建て一軒家に火の粉が上がったのは、11月19日午後11時半頃のこと。焼け落ちた家の一階から二つの遺体が発見され、後にこの家に住んでいた小学6年生の兄・松尾侑城くん(12)、小学1年生の弟・眞輝くん(7)だと確認された。そして火災から5日後、事件は急展開を迎えた。兵庫県警は、この家に同居していた母方の伯父・松尾留与容疑者(51)を殺人、現住建造物等放火の疑いで逮捕したのだ。
「逮捕容疑は19日午後11時31分頃から42分頃までの間、民家を全焼させ、兄弟を殺害したというもの。付近の防犯カメラには、消防に通報が入る直前に現場付近を歩く不審な男が映っており、警察は行方を捜していた。大阪市北区の公園付近で身柄を確保したのは、25日。(留与容疑者は)任意聴取に対し、『(火を付けたことは)間違いありません』と認めたため、逮捕に至った」(社会部記者)
この家に住んでいたのは、侑城くん、眞輝くんと両親、そして留与容疑者の5人だ。同日夜、父は仕事に向かった母を迎えに行くため車で外出。民家が炎に包まれたのは、それから20分後のことだった。
かけがえのない命を奪った留与容疑者は、どのような人生を歩んできたのか。中学の卒アルに映った留与容疑者は坊主頭。眩しそうに目を細め、顔をくしゃくしゃにしてはにかんでいるように見える。
「中学時代は野球部に所属。卒業後、神戸市内の寝装品の製造会社に就職する傍ら、夜間学校に通っていました。その後、地元で衣料品などを扱う工場などで働いた後、大阪市内の会社に勤務。結婚歴はなく、独り身やった」(知人)
留与容疑者に転機が訪れたのは、15年ほど前のことだ。06年9月、父が死去すると、4人いるきょうだいの長男である留与容疑者は実家の土地を相続。妹夫婦が暮らす実家に出戻ったのは、約1年前のことだった。