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「キャンプ3日目でしたかね。ふと映像が浮かんだんです」

 シーズンオフ、初めて監督が変わった。

「立浪監督にはキャンプ初日に『ほんと頑張れよ』と声をかけて頂きました。首脳陣からの期待はひしひしと伝わっています。怪我をしない。でも、追い込む。それがテーマです」

 コーチも変わった。中村紀洋コーチからのアドバイスは新鮮だった。

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「手で打つ。球をつぶす。外も引っ張る。この3つです。今まで下半身を意識していたので、上半身8割、下半身2割というのは真逆。あと、僕は外のボールをつい流してしまうので、外が飛ばない。それをとにかく引っ張れと。全部引っ張る練習も初めてです」

 感触はいい。

「打球が飛びます。場外ホームランは本当に調子が良い時に出るか出ないかなんですが、それが何本も出る。飛距離の違いを一番感じています」

 この秋季キャンプを絶対に乗り切りたい。

「毎日、本当にきついです。ひたすらノックを受けて、ひたすら打つ。シンプルですが、これで体力も技術も上がる。まず、今日。終わったら、明日。先は見ないし、見えません」

 練習前には振動するストレッチマシンで入念に全身をほぐし、練習後は電気治療の器具を下半身中心に当てるなどケアも徹底している。もう怪我はごめんだ。そして、言い切った。

「野球人生を振り返った時、この秋が分岐点だったと言える1か月にしたい」

 ファンにとって、今年の石川昂はもどかしかっただろう。他球団の高卒2年目選手の活躍を見れば、なおさらだ。確かに、背番号2はずっと二軍にいた。しかし、多くの「初」を経験し、スケールアップし、新しい指導もフィットしている。間違いない。いつか必ず爆発する。

「そう言えば」

 ポツリとつぶやいた。

「キャンプ3日目でしたかね。練習が終わって、寮に帰った時、ふと映像が浮かんだんです。来年の開幕戦でレフトへホームランを打っていました。ゆっくりダイヤモンドを回っていました。あ、バンテリンドームですけど」

 また笑った。その打球、きっと打った瞬間にそれと分かる当たりだろう。来年の本拠地開幕戦は3月29日。爆発する日はそんなに遠くないかもしれない。

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