「紙媒体はこのまま続きますか?」
9月に放送されたNHK Eテレの特別番組「ワルイコあつまれ」。
「子ども記者会見」というコーナーで、香取慎吾扮するしんごちんは、ゲストの『週刊文春』元編集長・新谷学にこんな質問をした。
ゲストとの事前の打ち合わせは無し。新谷に会ったらぶつけたいと思っていた質問は沢山あったというが、その中でも香取が真っ先に尋ねずにはいられなかったのが「紙の雑誌の今後」についてだった。
本日発売の12号目で3周年を迎えた『週刊文春WOMAN』で、香取は2018年12月の創刊以来、表紙画を担当してきた。コロナ禍で雑誌の休刊が相次ぐ中、創刊3周年を記念して編集部が用意した「紙の雑誌だからできること」というテーマに応えて、今回香取が描いたのが「actual size(原寸大)」と名付けた表紙画だ。
「いまや雑誌って、スマホやタブレットでも読めて、しかもデジタルならサイズだっていくらでも変えられますよね。逆に言えば、手触り込みでサイズを固定することって、紙でないとできない。なのでこれ、僕の手の実寸大にすれば、気軽に人と接触しづらいいまの状況でも、表紙越しに手を合わせられるんじゃないかと思ったんです」(巻頭インタビュー「actual size」より)
さらに今号の裏表紙では、ファッション業界でも〝服バカ〟として知られる香取と、彼がとくに偏愛するブランド、GUCCIとのスペシャルコラボが実現。
2015年にGUCCIのクリエイティブ・ディレクターに就任し、イタリアを代表する名門ブランドにサブカルチャーや多様性の概念を採り入れたアレッサンドロ・ミケーレは、香取にとってつねに意識している存在だという。
「2015年といえば、僕は30代後半。もっともっとファッションで遊びたいし、冒険もしたいけれど、少しはスーツでも着て落ち着かなきゃ、みたいなプレッシャーもあったんです。でも、アレッサンドロのグッチが、〝大人だって着たいものを着ていいんだよ〟と背中を押してくれたような気がして。(中略)近頃は実際に動くのが億劫になってしまったり、なんでもリモートで済むから洋服も気にしなくていい、みたいな流れがあるけれど、そういう世界は危ないんじゃないかな」(巻末インタビュー「香取慎吾がGUCCIを着る理由」より)
リアルな手触りのある紙の雑誌だからこそ、表紙があり、裏表紙がある。さらに今号では、自ら提案して、巻頭インタビューには坊主頭、巻末インタビューには金髪で登場している。表と裏でふたつの顔を見せるという、まさに紙の雑誌だからできる遊び心を発揮した。
photographs:Kei Ogata(No.2)
【週刊文春WOMAN 目次】香取慎吾、谷川俊太郎 紙の雑誌だからできること/中野信子 初小説/桜庭一樹「少女を埋める」と韓国文学/温又柔、李琴峰 SNSのヘイトと戦う/望海風斗
2022 創刊3周年記念号
2021年12月21日 発売
定価550円(税込)
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