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コロナの感染拡大が小池都政を襲う

 そうした取組の結果、都財政は健全性を回復し、猪瀬・舛添・小池の時代には、4~5兆円の安定した都税収入に支えられて自由に使える予算が毎年用意された。これを奇貨として無駄遣いに明け暮れたのが小池都政1期目である。その頃、一般会計の予算規模は中期的に6兆円台で推移していたが、小池知事になると7兆円台の高い水準に乗せた。それもコロナ感染が発生する前のことである。

 まさに、予算面で我が世の春を満喫していたのが小池知事だったのだ。都民ファーストの会を最大会派とする大政翼賛的な都議会が、無批判で予算を通した側面も指摘しておかなければならない。

 こうした野放図な都政運営に明け暮れる小池都政を、突如、コロナの感染拡大が襲った。営業自粛の協力金を中心に補正予算を繰り返し編成し積み上げた結果、2021年度の一般会計は当初の7兆円台から10兆円を優に超える規模にまで急激に膨張した。10兆円とはあくまで目の前のコロナ対策に必要な予算を含んでのこととは言え、都税収入5兆円との乖離の大きさは前代未聞である。

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©文藝春秋

 しかも、都税収入の2~3割は法人二税であり、景気の動向に大きく左右される。1、2年のタイムラグで影響が顕在化する。コロナによる景気低迷で税収が落ち込むのは正にこれからなのだ。

虎の子の900億円がほぼゼロに

 コロナ対策という想定外の出費以外にも、大きな落とし穴がある。東京2020オリンピック・パラリンピックの負の遺産である。無観客開催により、組織委員会にとって虎の子の収入源だったチケット収入900億円はほぼゼロになった。時限的に設置された組織委に代わり、いったい誰が赤字を補するのか。

 また、東京2020大会全体の収支次第では巨額の損失が発生するが、国との間で負債の押し付け合いが行われるのは必至だ。東京都が開催都市として無傷でいられるはずはない。