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《昭和史発掘》なぜ陸軍将校たちは「無条件降伏」という天皇の“聖断”に納得しなかったのか

没後1年、半藤一利『日本のいちばん長い日』が漫画化

2022/01/12

source : 文春コミック

genre : エンタメ, 読書, 歴史

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「アメリカとの戦争は避けたい」

 二・ニ六事件など相次ぐテロの恐怖で、軍部独裁の道が開かれた。満州事変、日中戦争の拡大を経て、ついにアメリカとの戦争が不可避な状態になっていく……。

「交渉を最優先とせよ! アメリカとの戦争は避けたい」

 天皇の願いも虚しく、軍部は戦争へ舵を切っていく……。

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 12月1日、ついに対米戦争が最終決定される。12月8日、ハワイを奇襲。アメリカとイギリスに宣戦布告した。香港、マニラ、シンガポールを次々と攻略し、南太平洋の広大な地域をおさえた。

 

 だが、破竹の勢いだった日本軍も、1942年6月のミッドウェー海戦で惨敗、戦況は一変する。連合軍の反攻が始まり、やがて日本本土への空襲が始まった──。

 

 1945年3月、焦土と化した東京の街を視察した天皇。「これ以上、国民に塗炭の苦しみを味わわせることできない」。天皇の胸に「終戦」の二文字が宿る……。

 

 7月、無条件降伏を求めるポツダム宣言が連合国から通告された。無条件降伏を求めるポツダム宣言に対し、陸軍の青年将校はいきり立つ。

「徹底抗戦あるのみ!」

 

 無条件降伏を受諾すべきか、本土決戦か。侃々諤々の議論が続くなか、広島に原爆が投下され、ソ連が参戦する。水面下で陸軍のクーデター計画が進むなか、天皇が臨席する御前会議が開かれた。

 

「自分が国民に呼びかけることがよければ、いつでもマイクの前に立つ」

 8月14日、最後の御前会議で昭和天皇は聖断を下し、無条件降伏を受諾する──。

 

 ポツダム宣言受諾が決まったが、徹底抗戦を主張する青年将校らは決起を求め、行動を始める。

「たとえ国が亡びても、日本人の魂が亡びるよりはいい! 最後まで戦うべきだ」

 彼らにとって国体の護持とは、自分たちの増長するまま他国を侵し、どこまでも拡大していくための最強の方便なのだ。それが幕末の“尊皇攘夷”の本質でもあった。

 

 和平か本土決戦か、最後の一日をめぐる戦いが始まった……続きは、文春オンライン連載「日本のいちばん長い日」でお楽しみください。

 コミカライズにあたって、星野之宣さんは次のように語っています。

「『日本のいちばん長い日』の最初の映画化を父親と一緒に観たのは中学生の時です。それから50年余、まさか漫画にする日がくるとは思っていませんでした。原作は昭和20年の8月、太平洋戦争の終結に至るまでの一日を追ったドキュメント。そこは忠実に追走するつもりですが、自分なりに少し時間をさかのぼったプロローグをつけて、これまでの映画などとは違った視点から全体をとらえ直してみたいと思っています。どうぞよろしくお願いします」

日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)

半藤 一利

文藝春秋

2006年7月7日 発売

《昭和史発掘》なぜ陸軍将校たちは「無条件降伏」という天皇の“聖断”に納得しなかったのか

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