「第63回 輝く!日本レコード大賞」が12月30日にTBS系列で生放送される。毎年レコード大賞受賞曲はいやが上にも注目が集まるが、今年は史上稀に見る“本命なき戦い”が水面下で繰り広げられているというのだ。ベテランの音楽ライターが声を潜める。

「11月中旬にレコード大賞の候補となる優秀作品賞が発表され、12月上旬に会見も行われましたが…。コロナ禍もあってか、正直言って今年はどのアーティストも決め手に欠けるし“本命”不在の大賞となりました。そもそもヒット曲と言えるようなヒット曲もなく、優秀作品賞の中にも際だって目を引くような曲もない。TBSや審査員達は頭を抱えているんじゃないでしょうか」

総合司会はTBSの安住紳一郎アナと女優の吉岡里帆 レコード大賞公式HPより

優秀作品賞受賞の10曲は…?

 今年の優秀作品賞を受賞したのはLiSAの『明け星』、純烈の『君がそばにいるから』、乃木坂46の『ごめんねFingers crossed』、Da-iCEの『CITRUS』、NiziUの『Take a picture』、DA PUMPの『Dream on the street』、AKB48の『根も葉もRumor』、三浦大知の『Backwards』、氷川きよしの『Happy!』、Awesome City Clubの『勿忘』の10曲だ。

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美しさに磨きがかかる氷川きよし ©文藝春秋

YOASOBIは「特別賞」止まり、優里は名前もあがらず

 音楽業界でも多様化が進んでおり、CDの売り上げイコール楽曲の価値とは言えない現状もある。サブスク等を初めとする配信ビジネスは、こと若いユーザー相手においては、CDの売り上げよりも説得力のある数字だ。だが、レコード大賞の優秀作品賞に、配信ビジネスで結果を残した優里やYOASOBIの名前は無かった。

YOASOBIの2人 ©文藝春秋

「EP『THE BOOK』がヒットしたYOASOBIに関しては『特別賞』に選ばれましたが、優里に関しては名前すらありませんでした。音楽業界も多様化が進んでいますが、『レコード大賞』という名前だけあってやはりデジタル配信よりは物理的なCDの売り上げに重きが置かれているイメージが強いですね」(前出・音楽ライター)