――給料はどういう契約だったのですか。
DJ社長 最初は歩合制でした。2017年のツアー前までは、移動はヒッチハイクで、寝るのはライブハウスみたいな生活だったので、安定した収入を見込める状態ではありませんでした。歩合制の形式としては、至って普通の雛形っぽいものでした。でもその直後、2018年頃から爆発的に人気が出ました。
――DJ社長が「好きなことで、生きていく」と題したYouTube動画を公開した頃ですね。40分という長さにもかかわらず、再生回数は4日で200万回を超えるなど大きな反響を呼びました。
幕張メッセライブ後もメンバーは月給30万
DJ社長 突然忙しくなり、ライブにも引っ張りだこの状態になったんです。売上も伸びて、いよいよ安定した給料制になりました。
――2018年11月17日には幕張メッセのワンマンライブで1万5000人動員するなど、人気アーティストとしての地位を確立します。
DJ社長 この頃の僕たちは本当にノリノリだったと思います(笑)。2019年9月には夢だったドーム公演も予定されていて、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。そんな中、唯一の不安といえば、H氏がどう経理の運営をしているのか全くわからなかったことです。
――動画でも、H氏が会社の帳簿を見せてくれなかったことに憤っていましたね。
DJ社長 肌で感じている稼ぎと実際の給料が見合ってないなと感じて。アリーナ公演を満席にできる人気がありながら、月給30万円程度でメンバーは頑張ってくれていたんです。H氏に対する不信感が募りだしたのもこの頃からです。早く借金を完済して、会社を取り戻さなければという思いが強くなりました。
――実際に借金を完済できたのはいつ頃だったのでしょうか。
DJ社長 2019年の初め頃です。満を持して株を返してもらおうと思ったら、H氏は返してくれませんでした。愕然としましたね。そこから会うたびに頼み込んで……。そうしたら「じゃあ一旦B氏の株49%を君にあげる」と言われて、49%を49万円で買い戻しました。不本意な形ではありましたが、それでも半分近くを取り戻せたので一時はほっとしたんです。
かたくなだったH氏がいきなり「株を売る」
――そこから一体どういう経緯で、動画で語られているようなトラブルが起きたのでしょうか?
DJ社長 2019年9月に予定していたメットライフドーム公演が、炎上騒動をきっかけに中止になりました。さらに新型コロナウイルスの影響で活動ができなくなって、2020年春に予定していたアリーナツアーも中止になったんです。この頃、H氏が急に「株を売る」って言い出しました。きっと、公演中止が続いたことで会社が大赤字を抱えると思ったんだと思います。