2016年末時点で家や国を追われた難民は約6500万人。うち最も多くを占めているのは、長引く内戦や大国の空爆、ISのテロなどの混乱から逃れたシリア人である。
自身もシリア北東部出身の俳優シェルワン・ハジさんは、映画『希望のかなた』で、シリアからフィンランドへ流れた青年カーリドを演じている。
「いま現実に起きていること、そしてシリア人の役であることに責任と重圧を感じました。なぜなら私の家族や友人の物語でもあるからです。アキ・カウリスマキ監督は、カーリドがフィンランドに辿り着いた事情を間接的にしか描いていません。むしろ、さ迷う街の中で彼に理解を示そうとする者や排斥しようとする者の姿を見せています。彼らは誰一人として完璧ではありません。監督はそうやってどの人間を良いと思うか観客を試しているようにも思えるのです」
昨年、日本政府が認定した難民は28人。この国でも現実に起こり得る話なのだ。
「異国の地で流れる音楽に耳を傾ける場面があります。そう、世界には共通の言語があるのです。そして動物が心に壁を作らず人と接する場面も。全ての難民が善良ではないにしても、そこに共生の在り方が示されている気がします」
INFORMATION
映画『希望のかなた』
12月2日より渋谷・ユーロスペースほか全国順次公開
http://kibou-film.com/