A子さんがはじめて「中華そば 堀川」へ出勤したのは9月3日。出勤初日にもかかわらず店内にはB氏とA子さんの2人だけで、調理はB氏が担当し、A子さんは主に接客を任されることになった。初日から、B氏のA子さんに対する行動は異常だったという。
「私が指示通り完璧に動かないと、Bはすぐに不機嫌になりました。コミュニケーションがうまくとれている感覚がなく、営業中からずっと説教が続いていました。細かいミスでも『なんでそうしたん?』『は?』『端的に伝えてくれ』と常に高圧的な物言いで詰められました。怒りのポイントも異様にこまかく、店に置いてある“記名表”を“記入表”と間違えたり、テーブルを拭くダスター(ふきん)の置き場所がほんの数ミリずれただけで怒るんです。
営業中から怒られっぱなしでしたが、閉店後はそれがエスカレートしました。閉店した16時から翌日の仕込みが終わる21時くらいまで、『あれもダメだった、これもダメだった』と言われつづけ、『生きている価値がない』などキツイ言葉もありました。結局、21時頃に『会話できんから帰れ』と言われて帰らされました。初日から『この人ヤバいかも』という感覚はありました」
それでも初出勤翌日の9月4日、A子さんにB氏から《明日来るんか?》とLINEが届いたという。
3日の閉店後に5時間罵声を浴び続ける中でB氏に「どうせもう来らんのやろ? 無責任なことすんなよ?」と言われていたA子さんは、断ったらまた説教されると怖くなり「行きます」と返信した。
開店10分で顔にグーパンチ
そして2度めの出勤となった9月5日、A子さんは開店1時間前の午前10時からB氏と2人で開店準備を進めていた。そして、事件は開店わずか10分後に起きた。
「この日も3日と同じで、Bとは話が通じている感じがしませんでした。朝からかなりイライラしている様子だったんですが、営業開始10分後に『お前、裏来い』と厨房の奥に呼ばれました。そこはバックヤードで、お客様から見えない位置でした。
言われた通りについて行くと、突然顔にグーパンチが飛んできました。左頬を3発殴られ、その場でうずくまっていたら『お前ほんまに最悪やわ』と言われ、今度は左足に蹴りを1発。すると倒れている私を置いてBはさっさと厨房に戻っていきました。私は急に殴られたショックでしばらく茫然としていたんですが、戻ってきたBに『いつまでそうしてるん? はよ来い』と言われ、従わないと殺されるかもしれないという恐怖が生まれました」