中国メディアも羽生の動向を注視
今大会でも中国メディアは羽生の動向をつぶさに追っているという。
「羽生選手はいつ中国に到着するのか?」
2月3日に行われた日本選手団の記者会見でも、中国人記者からはそんな質問が飛んだ。再び前出の周氏が言う。
「ただ、今回はクローズド・ループという壁があるので、その外にいるメディアには公開練習や試合以外では羽生選手の姿を直接捉えるチャンスはない。そこで中国のネットメディアの記者などは、クローズド・ループ内で羽生に遭遇する可能性が高い中国人選手や関係者に『羽生がいたら写真や動画を撮って送ってほしい』と呼びかけているほどです」
羽生の人気ぶりに便乗しようという輩も跋扈している。中国のネット上には、羽生選手の切り抜き写真をキーホルダーにした商品や卓上ブロマイドなどなど、無許可で制作されたとみられる羽生グッズが大量に出品されているのだ。
こうした行為は許されるものではないが、「中国での羽生選手の商業的価値の高さを証明している」と話すのは前出の周氏。
「北京五輪後は、不倫スキャンダルで失墜した福原愛に代わり、最も人気のある日本人として、中国でCM出演などのオファーが相次ぐはずです」
“超厳格”なクローズド・ループの実情は…?
一方、クローズド・ループ内の選手や関係者たちは、そうした商業的思惑蠢く外界とは対照的に、無機質で抑制的な生活を送っている。
北京五輪のプレイブックによると、クローズド・ループ内の選手・関係者に対しては毎日PCR検査が行われ、陽性反応が出た競技者は直ちに隔離される。無症状の場合は、24時間の間隔を空けてのPCR検査で2回連続の陰性結果が出れば隔離を解かれるが、その場合でも競技に出場できるのは隔離解除から6時間以降とされている。
さらに、同じ部屋に滞在するチームメイトは濃厚接触者に認定され、競技への出場や屋外でのトレーニングは認められるが、それ以外は基本的に1人部屋に隔離され、1日2回のPCR検査を課される生活を7日間余儀なくされる。
選手にとっては、こうした毎日のPCR検査を無事クリアすることが、勝利への第一関門となっているのだ。
大会組織委員会は、中国入国時や入国後のPCR検査で陽性となった選手や関係者は、1月23日から2月1日までに232人になったと発表している。2月2日には、スキー競技の日本代表選手が、現地入りして2度目のPCR検査で陽性反応が出たと伝えられている。