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「PCR検査はすべて北京当局が管理している」

 また同記事では、IOCの北京2022医療専門家会議のブライアン・マクロスキー委員長の「国際基準に則った厳格な検査運営がなされている」とする発言を紹介して、説得力を補強している。

 マクロスキー委員長の発言は、1月23日にIOCが動画配信したブリーフィングから切り取られたものだ。ところが、その動画のなかでマクロスキー委員長は、「PCR検査はすべて北京の研究所が運営しており、北京当局が管理している」とも発言しており、検査結果の公平性に対する国際的な疑念を高める結果となっていた。

北京オリンピックの公式マスコット「ビンドゥンドゥン」 ©JMPA

 中国のPCR検査の公平性を疑う人々の多くに共通する記憶は、2014年のソチ冬季五輪で明るみとなった開催国ロシアの組織的ドーピング不正だろう。同国の反ドーピング機関RUSADAが、自国選手のドーピング検査結果を「黒から白へ」書き換えていたのだ。

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 この件は、2016年に世界反ドーピング機関「WADA」が、保管していたソチ五輪に出場していたロシアの選手から提出された120の尿サンプルを再調査した結果、そのすべてでデータ改ざんが明らかとなった。ところが今回のPCR検査は中国が独自に行うものである以上、そのサンプルの保管や再検査に国際機関が関わることはできないのだ。

ビンドゥンドゥン(右)と並ぶのはパラリンピック公式キャラクター・シュエロンロン©JMPA

WADAの元役員も「閉鎖された国ですべてが正常に行われると信じられるか?」

 WADAの元副本部長で、現在はアスリートの権利擁護活動を行うロブ・ケーラー氏も「(北京五輪でのPCR)検査の安全性、監視、独立性、そして操作の可能性について懸念がある」「閉鎖された社会、閉鎖された国で、すべてが正常に行われていると信じられるだろうか?」と米メディアの取材に答えている。

 PCR検査への疑念と出場停止の不安を抱え続ける外国人選手と、全幅の信頼をおくことができる中国人選手では、それだけでもコンディションの最終調整やメンタルの部分で大きな差が出る可能性もある。スポーツの基本であるフェアネスの担保のためにも、大会参加国にはPCRの検査結果を再検証できる仕組みも必要なのではないだろうか?

 メディアも排除され、地元住民すらバーチャルに感じてしまうブラックボックスで行われる大会であるなら、なおのことだ。